「SARS-CoV-2抗体がデング熱のADE(抗体依存性感染増強)を引き起こす」という論文

この中に、

> 抗 SARS-CoV-2 抗体が DENV-2 と交差反応し、ADE を介してその感染を増強する可能性がある…

というように「抗 SARS-CoV-2 抗体」とあるのですが、これは、コロナワクチンも、デング熱の ADE を誘発する可能性があるということでは?


SARS-CoV-2抗体は交差反応してデング熱感染を促進する

biorxiv.org 2023/10/10

SARS-CoV-2 antibodies cross-react and enhance dengue infection

概要

デング熱は世界中の熱帯および亜熱帯地域で非常に蔓延している。しかし、その病因は、特に他の風土病ウイルスと比較して、まだ完全には理解されていない。

抗体依存性増強(ADE)はデング熱ウイルスのよく知られた現象だ。最近のデング熱症例の急増と SARS-CoV-2 抗体との潜在的な交差反応性を考慮して、この研究では抗 SARS-CoV-2 抗体が、デング熱感染に及ぼす影響を調査いる。

この研究では、SARS-CoV-2 抗体とデング熱ウイルス(DENV-2)との交差反応性が評価された。COVID-19 のさまざまな流行中に採取されたヒト回復期血漿サンプルと、SARS-CoV-2に対して産生されたモノクローナル抗体およびポリクローナル抗体を用いて、細胞ベースのアッセイを用いてデング熱ウイルス感染の ADE を引き起こす可能性を調べた。

この研究では、ヒトの自然感染または動物の実験的免疫によって取得された抗 SARS-CoV-2 抗体がDENV-2と交差反応し、K562 細胞および U937 細胞における DENV-2 感染を増強する可能性があることが判明した。

イン・シリコ(※ コンピュータでの解析)およびイン・ビトロ(※ 試験管内の)研究では、SARS-CoV-2 抗体と DENV-2 E タンパク質間の強い相互作用が示され、これらの発見の分子的根拠が提供された。

この研究は、抗 SARS-CoV-2 抗体が DENV-2 と交差反応し、ADE を介してその感染を増強する可能性があることを初めて実証したものだ。これらの発見は、デング熱が流行している地域における SARS-CoV-2 ワクチンの開発および配備戦略に影響を及ぼす。