「病気の時代」カテゴリーアーカイブ

「ニコチンが腸内細菌や病原菌、毒素といった外来異物の侵入を防ぐ重要な役割(タイトジャンクション)の完全性を形成する可能性」についての論文

出てくる用語については、以下のようになります。

Caco-2 細胞単層:ヒト結腸がん由来のCaco-2細胞を多孔性フィルター上で培養し、小腸上皮細胞のような機能を持つ単層の細胞膜を再現したモデル

タイトジャンクション:上皮細胞同士を機械的に繋ぐことでバリアを形成し、腸内細菌や病原菌、毒素といった外来異物の侵入を防ぐ重要な役割を担っている。





Caco-2 細胞単層におけるタイトジャンクションの完全性に対するニコチンの in vitro 効果

doi.org/10.1016/j.fct.2007.02.021 2007/02/24

The effect of nicotine in vitro on the integrity of tight junctions in Caco-2 cell monolayers

要約

潰瘍性大腸炎は、上皮バリアの障害とタイトジャンクションの変化を特徴とし、その結果、腸管透過性が亢進する。喫煙者では潰瘍性大腸炎の発症頻度は低く、喫煙は傍細胞透過性を低下させると報告されている。

そこで本研究の目的は、タバコの主成分であるニコチンとその代謝物が、Caco-2細胞単層におけるタイトジャンクションの完全性に及ぼす影響を明らかにすることだ。

Caco-2タイトジャンクションの完全性は、様々な濃度のニコチンまたはニコチン代謝物で 48時間処理した後、経上皮電気抵抗(TER)を測定し、蛍光マーカーであるフルオレセイン (蛍光色素)の光束を追跡することで解析した。

経上皮電気抵抗は、48時間後には 0.01~10μMのニコチン濃度すべてにおいて対照群と比較して有意に高く、12時間後と24時間後には 0.01μM、0.1μMと10μMのニコチンにおいて対照群と比較して高かった。フルオレセインフラックスの結果は経上皮電気抵抗アッセイの結果を裏付けた。

試験したすべてのニコチン代謝物の経上皮電気抵抗測定値も、24時間および 48時間のみで高かった。

ウェスタンブロット解析 (特定のタンパク質を検出する方法)では、ニコチンがタイトジャンクションタンパク質であるオクルディン (膜貫通型タンパク質)およびクローディン-1 (重要な膜タンパク質)発現をアップレギュレーションすることが示された。

総合的に見て、喫煙者の血中で報告されている濃度に相当するニコチンおよびその代謝物は、タイトジャンクションの完全性を有意に改善し、ひいては腸管上皮透過性を低下させると考えられる。

我々は、in vitro試験において、ニコチンが腸管上皮透過性を低下させる作用が、その代謝物よりも強力であることを示した

この腸管バリアの強化は、タイトジャンクションの形成に関連するクローディン1およびオクルディンタンパク質の発現増加の結果である可能性があると推測している。これらの知見は、ニコチン治療、そして喫煙が腸管上皮透過性を低下させる作用機序を説明する一助となる可能性がある。




43%の医師が「退院可能な患者を入院させたままにしたことがある」と回答、という報道

病院経営は今大変ですので(自治体病院の86%が経常赤字、大規模急性期病院では9割超が経常赤字)、ある程度の理解はしますけれど…。





43%の医師が「退院可能な患者を入院させたままにしたことがある」と回答

日経メディカル 2026/01/05

経営状況の悪化に伴い、不必要な入院の受け入れや入院期間を延ばすことで病床稼働率を維持しようとする病院があることが指摘されている。

しかし、実際の入退院判断の背景には、様々な事情があると予想される。そこで、日経メディカル Onlineは、医師会員を対象に、日本経済新聞と共同でウェブアンケートを実施。病床の運用に関する意識調査を行った。アンケート実施期間は、2025年11月10~19日で、総回答者数は7951人だった。

前編では、過去1年間に入院の必要性が低い患者を入院させたことがある医師が半数近くいた実態などを紹介した(前編は下記リンクから)。後編では、退院できる人を入院させたままにする判断の実態について調査した結果を紹介する。

【前編】過去1年で「入院の必要性が低い患者」を受け入れた医師は45%、その理由は(12/19)

 まず、「過去1年間で心身の状態から退院可能と判断できる患者の退院を何らかの事情で延ばした経験はあるか」と尋ねたところ、43%の医師が「ある」と回答した(図1)。


図1 過去1年間で退院可能と判断できる患者の退院を何らかの事情で延ばした経験はありますか




「がんが大きくなっても歩けるなら死なない」という緩和ケア医の談話

正月からいい話じゃないかと思いました。私も、「がんじゃなくて、抗がん剤が原因なのでは?」という死をいくつか見てきましたので、自分の将来もこういうことを考えておいたほうがいいなと思いますね。





「がんが大きくなっても歩けるなら死なない」2000人以上を看取った緩和ケア医

GOETHE 2026/01/01

不健康寿命が延び、ムダな延命治療によってつらく苦しい最期を迎えることへの恐怖が広がる今、「長生きしたくない」と口にする人が増えています。元外科医で2000人以上を看取ってきた緩和ケア医・萬田緑平先生が、先行き不透明な超高齢化社会において、家で自分らしく最期を迎えるために、何を選び、何を手放すべきかを語ります。『棺桶まで歩こう』から一部を抜粋してご紹介します。

抗がん剤をやめて、歩きだしたら元気になった

ほとんどの人は、「がんが大きくなると死んでしまう」と思っています。だから、がんをとるため手術をする、あるいは抗がん剤や放射線でがんを叩く治療が行われます。

「抗がん剤で治療するしか、生きる方法はない」と思っていたがん患者さんが僕の診療所に来ます。そういう方はむしろ、抗がん剤で身体が弱ってしまっているのです。まず、抗がん剤をやめ、歩きだすと元気になり、「あと数日」と言われた方が何カ月、何年も生きた例をたくさん見てきました

人間は、「がんが大きくなったから」死ぬのではなく、身体が弱って死ぬのです。だから本人がまだがんばれる、がんばって歩けるなら、寿命は延ばせます。がんが赤ちゃんの頭ほどの大きさになっても、歩けるのです。

ただ、僕は「こうしなさい」とは絶対に言えません。

病院で手術するのか、抗がん剤治療を受けるのか、あるいは何もしないのか、それは本人が決めることだと思っています。

母親ががんになり、娘が治療法をたくさん探してきて、「この治療をしなさい」というケースがありました。でも母親は、その治療法はしたくないと拒絶します。

現在はものすごい量の情報が手に入ります。しかも、がん治療というのはどんどん進んでいますから、娘さんも母親のためにいろいろ集めたのでしょう。「お母さんは知らないから決められない。だから、私が調べて決める」という子も多いのです。気持ちはわかりますが、本人がしたくないなら、それでいいのです。

僕は娘さんに言いました。

「あなたは、何人の男性を見て旦那さんを選びましたか? この世に何億人といる男性を全部見たのでしょうか。もしかして最初の彼と結婚しませんでしたか?」

人間とはそんなものだと思います。結婚相手、仕事選びも、自分の知っている範囲で、自分がいいと思って決断するのです。そうやって人生を決めていくのがいいと、僕は思っています。治療法も同じで、本人が知っている範囲から選べばいいのです

子どもが「この人と結婚したい」と言うなら、喜んで応援する。親が「この治療がいい」と決めたなら、信じて応援する。それでいいのではないでしょうか。

もし、何も治療しないというのなら、それでもいい。それがその人の人生なのです。

「もう治療したくない」という人だけを診る医者

僕は、がん治療は「ギャンブル」だと思っています。

経験上、人は抗がん剤治療をしないほうが長生きできるとも思っています。

例えば最近、「がんは治る病気です」とよく言われます。「早期発見すれば治ります」との主旨ですが、治るということはそれは「がん」ではないのです。

「早期がん」と限るのは、がんになる前のもので、がんにならない良性腫瘍も含まれている可能性があるのです。つまり、がんになる悪性もあるけれど、がんにならない良性もたくさんある。「早期がん」で手術して治ったということは、「がんにならないもの」を取っただけかもしれません。

以下は、オリジナルの記事からどうぞ。




埼玉県の要介護者数が少ないのは全国で最も人口あたりの医者が少ないからだと理解

要介護・要支援認定者数が最も少ない県は、

> 沖縄県(41.6人)、埼玉県(43.1人)、愛知県(43.3人)

となっています。最も多いのは、秋田県(77.6人)、和歌山県(74.6人)、島根県(72.5人)です。

そして、ご紹介する読売新聞の報道では、埼玉県は全国で最も人口あたりの医師の数が少ないことを知りました。医者も病院も少ないほうがいいようですね。夕張なんかも、財政破綻で病院がなくなった途端に、市民全体の健康が戻りましたし。





国内医師数が過去最多に…人口10万人あたり最多の徳島県は最少・埼玉県の1・8倍

読売新聞 2025/12/27

厚生労働省は2024年末時点の国内医師数が34万7772人で、過去最多だったとする調査結果を公表した。しかし、人口あたりの医師数は最多の徳島県と最少の埼玉県で1・8倍の差があり、医師の偏在が浮き彫りになっている。

医師数は、現在の方法で調査を始めた1982年以来、増加が続く。16万7952人だった82年と比べると、今回は2倍に達した。

都道府県別にみると、人口10万人当たりの医師数は徳島で345・4人と最も多く、長崎の333・8人、京都の333・2人が続いた。埼玉は189・1人と最少となり、茨城の198・1人、千葉の213・3人も少なかった。

医師数全体が増えるなかで一部の診療科で減少する実情もみえた。産婦人科・産科は前回調査の22年末時点と比べ、143人減の1万1690人、外科は749人減の2万6885人だった。一方で、小児科は228人増の1万8009人となった。




カナダのインフルエンザ流行が昨シーズン超で史上最高レベルに。日本は完全にピークアウト

カナダのインフルエンザ検査陽性率(前年比)

Outbreak Updates

日本は、今シーズンは結局、昨年の流行数に届かないままピークアウトしたようです。

日本のインフルエンザ患者報告数(2025年12月14日まで)

metro.tokyo.lg.jp




フィンランドの多動性障害(ADHDを含む)の驚異的な増加率

フィンランドの多動性障害 (ADHD を含む) 推定患者数

Ilkka Rauvola

投稿された医学者の方は以下のように書いています。

現在の 2025年の成長率が続けば、12年後(2037年)には 7~ 14歳の子どもの 50%が多動性障害の診断を受けることになるでしょう。

– 2024年では、7~14歳の子どもの 5.04%がこの診断を受けました

– 2025年では、前年比で患者数が 19%増加すると予想されます




世界で30億人が慢性頭痛を抱えているという研究。その多くが「鎮痛剤の飲み過ぎ」により悪化している

この「鎮痛剤が痛みを持続化させる」ということについては、In Deep のの以下の記事で研究を取りあげたことがあります。日常的に鎮痛剤を用いると、痛みが恒常的になってしまう傾向があるようです。

炎症を止めると痛みが永続化する… : ごく普通の市販の鎮痛剤を含むすべての抗炎症薬が「痛みを慢性化させてしまっている」ことがサイエンスに発表された研究で判明
In Deep 2022年5月12日





3人に1人が慢性頭痛を抱えていることが研究で判明

Epoch Times 2025/12/08

1 in 3 People Live With Chronic Headaches, Study Finds

ランセット神経学誌に掲載された新しい研究によると、2023年には世界中でほぼ 3人に 1人が頭痛障害を経験し、その数は約 30億人に達するという。

この分析では、世界中の人口調査のデータを使用し、頭痛が日常生活や健康全体にどのような影響を与えるかについて、これまでで最も詳細な画像を提供した。

片頭痛の負担

調査の結果、緊張型頭痛が最も一般的なタイプの頭痛であり、毎年人口の34.6%が罹患していることが判明した。

研究によると、片頭痛に悩む人は緊張性頭痛に悩む人の半分に過ぎないにもかかわらず、片頭痛は頭痛関連の障害全体のおよそ 90%の原因となっている。

2023年の世界疾病負担研究の一部であるこの研究によると、頭痛疾患は依然として健康損失の主な原因であり、1990年以来変化がないことが判明した。

女性は2倍の打撃を受ける

調査によると、頭痛関連の障害を経験する女性は男性の 2倍以上の割合で、10万人あたり 739.9人(男性 346.1人)と、その負担は不釣り合いに大きくなっている。また、女性は頭痛の症状を経験する時間も長かったことが判明した。

過剰な鎮痛剤の使用の問題

分析により、薬物の過剰使用が世界中の頭痛関連障害の 5分の1以上を引き起こしていることがわかった。これは、痛みを和らげるはずの薬が最終的に問題を悪化させるという悪循環であることを示している。

長期にわたる鎮痛剤の過剰使用は頭痛の悪化につながることが分かっているからだ。

薬物の過剰摂取は脳の痛みの伝達経路を過敏にさせると、ハワイの高級依存症治療センター「ジ・オハナ」の医療ディレクター、ジェフリー・チェスター医師はエポックタイムズに語った。「(鎮痛剤を過剰摂取すると)時間が経つにつれて、頭痛が起こりやすくなる可能性があります」

「有酸素運動と筋力トレーニングはどちらも、月間の頭痛日数と全体的な障害を有意に減少させることが実証されています」と、ヘルシーUクリニックの健康管理ディレクターのアレクサンダー・ディディク博士はエポックタイムズに語った。

これらのアプローチは、個別の医療および予防治療計画と組み合わせると最も効果的であると彼は述べた。