三十代によく聴いていた曲(7):ステンスキ:The Motorcade Sped On(1991年)

三十代になって、いろいろな音楽を聴いている時に、タイトルは思い出せないのですが、 DJ のオムニバスのアルバムをジャケ買いしたことがありました。

1980年代から 1990年代初頭の頃までの著名な DJ たちというような説明でしたけれど、そこに入っていた曲…しかも、ラストの曲だったんじゃないかと思うんですが、このステンスキの The Motorcade Sped On という曲が入っていたんです。

以下の曲ですね。ケネディ大統領が暗殺された時のニュース速報をコラージュした曲です。不謹慎といえば不謹慎ですが、ヒップホップの名曲として残っています。

Steinski – The Motorcade Sped On (1991)

当時の DJ は、ほぼすべて黒人でしたから、何となく、この人もそうなのだろうとか思っていたのですが、その後、数年経ってからですかね、「スクラッチ」というタイトルのアメリカのドキュメンタリー映画(2001年の映画)が、東京で公開されると知り、見に行きました。

そうしましたら、その映画に、ステンスキが出ていまして、白人だと初めて知ったのでした。おそらく、1980年代に、当時勃興していたストリートのヒップホップと彼が出会ったときのことを語っていました。

ヒップホップとの出会いを嬉々として語るステンスキ

映画 SCRATCH より

そのときに彼の人生観は完全に変わったようで、そして、彼自身が、このムーブメントと関わりたいと思うようになっていったのでしょうけれど、ステンスキは「スクラッチができなかった」のです。

結局、彼がおこなったのは、テープで音をミックス、あるいはコラージュしてヒップホップ作品を作るという作業でした。

そういう中の作品群のひとつがこの曲です。厳密にはスクラッチではないにも関わらず、黒人の DJ たちも大いに感心してくれて、そして、ここから影響を受けていった人も多かったようです。そういう意味で、ヒップホップ文化の初期の重鎮として挙げられるようになったようです。

確かに当時のヒップホップの世界には、ひとりの青年を個人的な熱狂に導くほどのエネルギーがありました。

私にしても、三十代になって、躊躇も遠慮も不要なヒップホップを知り、人生が少し楽しくなっていました。