アメリカのシェール企業トップ、同業者に「直ちに」掘削停止を指示
OIL PRICE 2025/04/09
American Shale Chief Tells Peers to Stop Drilling ‘Right Away”
パイオニア・ナチュラル・リソーシズ社の創業者スコット・シェフィールド氏の息子でシェール事業の責任者であるブライアン・シェフィールド氏は、ブレント原油が 1バレル 60ドルを割り込み、WTI原油が 57ドルまで下落する中、米国のシェール掘削業者に対し、直ちに掘削を削減するよう要請したもようだ。
フォルメンテラ・パートナーズLPの経営権を握るシェフィールド氏は、トランプ大統領の関税戦争が一因となって起きた混乱と原油価格の急落を踏まえ、市場が安定したら、場合によっては掘削を延期し、既存の短期掘削契約に重点を移し、未完成の油井の拡張に戻る計画だとブルームバーグに語った。
報道によると、シェフィールド氏はブルームバーグに対し、現状は「流血の海」だと語った。
「業界は直ちに生産を削減し、関税戦争の行方を占う必要がある」とシェフィールド氏は語ったと伝えられている。
ブルームバーグの報道によると、今週初め、パーミアン盆地のゴルフトーナメント中に、米国のシェールオイル掘削業者がトランプ政権への不満を露わにした。
業界は、新政権への高い支持に不満を抱いており、シェールオイル掘削業者が「どんどん掘れる」未来を約束したにもかかわらず、政権はその後、原油価格の大幅な暴落を引き起こした。
シェールオイル掘削業者はトランプ大統領の選挙運動に大きく貢献し、米国を世界最大の原油生産国の地位に押し上げることで「アメリカを再び偉大にする」という重要な役割を担った。価格が下落し続ける中、その裏切りが今、感じられている。
4月2日、トランプ大統領は、4月5日から全輸入品に 10%の包括的な関税を課すと発表し、さらに特定の国を対象にした追加関税を 4月9日から発効させる。この動きは世界経済全体に波及し、前例のない市場の反応を招いた。
米国株式市場は木曜日と金曜日のわずか 2日間で過去最大の下落を記録し、週末を迎えるまでに時価総額 6兆6000億ドル (約 970兆円)もの大幅下落を記録した。
ブルームバーグは、世界の株式時価総額の下落額を10兆ドル (約 1470兆円)と推計しており、これは世界の GDP の 10%に相当する。シェールオイル掘削業者にとって、これは原油需要の危険な喪失を意味し、現在の掘削作業を支えることはおろか、拡張も不可能になるだろう。