「手指消毒剤はノロウイルス感染発生のリスクを高める可能性がある」という2011年の論文

 


手指消毒剤はノロウイルスのリスクを高める可能性がある

CMAJ 2011/09/06

Hand sanitizers may increase norovirus risk

米国予防医学会の会合で発表された米国の長期介護施設 161か所の調査で、日常の手指衛生におけるアルコールベースの手指消毒剤の優先使用とノロウイルスの発生リスクの増加との関連性が明らかになった。

ノロウイルスは急性胃腸炎のほとんどの原因となる感染性の高いウイルスだ。

この研究によると、ノロウイルスの発生を経験した施設のスタッフは、日常的な手指衛生に石鹸と水での洗浄以上に手指消毒剤を使用する可能性が 6倍高かった。

石鹸と水での洗浄より、アルコールベースの手指消毒剤を優先的に使用していると報告した 45施設のうち 53%でノロウイルスの発生が確認されたのに対し、手指消毒剤の使用頻度が低かった 17施設での発生は 18%だった。

さらに、複数のノロウイルスの発生があった 3つの施設では、スタッフが日常的および発生中の両方で、石鹸と水での洗浄より、手指消毒剤を使用する可能性が高いと報告されていた。

これらの調査結果は、アルコールベースの手指消毒剤が「ノロウイルスの蔓延を制御する上で最適ではない」可能性があることを示している。

しかし、米国疾病予防管理センター (CDC)の感染症対策当局のデイビッド・ブレイニー博士は、この調査の遡及的設計では、手指消毒剤の使用とノロウイルスの流行との間の因果関係は示されていないと、否定的な見解を示した。