コメ、北海道でも品薄感 民間在庫減少 業務需要旺盛、不作も響く
北海道新聞 2024/06/18
コメの品薄感が全国的に強まり、道内でも米穀店や弁当店などに影響が出始めている。昨夏の猛暑による不作、品質低下で流通量が減っている一方、訪日客の増加などで需要が堅調なことが背景にある。
短期的な需給状況で上下しやすい卸売業者間取引の価格は、銘柄によって前年の2倍近くまで高騰。
家庭向けの小売価格に大幅な上昇は見られないが、量販店では特売を控える動きもある。ただ、夏以降の新米出荷で状況は変わる可能性が高く、関係機関は冷静な対応を呼びかけている。
「コメの販売業者から、これまで通り納入できなくなる可能性があると言われた」。弁当製造販売などを手がける札幌市豊平区の「Harapeco(ハラペコ)」の高橋強統括本部長は、苦渋の表情を浮かべる。同社は毎月、卸売業者や米穀店など3社から計3トンほどの道産米を仕入れているが、価格は昨年より15%高くなった。
現時点では必要量を確保できているが、念のため別の3社にも購入を打診。しかし、品不足を理由に断られた。高橋本部長は「経験のない事態」と話す。
札幌市西区の米穀店「中野商店」は、昨秋に農協などと1年分の購入契約を結んでおり、現時点で店頭価格は変えていない。
ただ、中野裕之社長によると「今、仕入れるなら、ななつぼしで1俵(60キロ)2万5千円。今年1月末の1.5倍。高値で買うと言っても、ものがないこともある」。他の銘柄も同じ傾向という。
農林水産省によると、コメ需給の指標となる今年6月末の民間在庫量見通しは、前年同期より20万トン少ない177万トン。
6月末時点での適正水準は200万トン程度とされ、180万トンを下回れば世界的な穀物不足で161万トンだった2008年以来となる。
23年産米は猛暑で流通量が少なく、関係者によると、訪日客の和食需要に加え、おにぎり専門店の人気もあり、特に業務用の低価格帯のコメが品薄になっているという。