ブラジルで歴史的な低温。体感気温が氷点下の中で低体温症での死者も

 


《ブラジル》南極おろしで死者も=サンパウロ市で1990年以来の寒さ記録=体感気温は零下4度

ブラジル日報 2022/05/20

1990年以降で最も寒い5月となったサンパウロ市で18日朝、低体温症を起こした男性が死亡する事件が起きたと18、19日付現地紙、サイトが報じた。

低体温症による死者が出たのは市役所の認可を受け、民間団体が運営するモオッカ区の社会福祉施設で、死亡したのはイザイアス・デ・ファリア氏(66)だ。施設に近い路上で眠った同氏は、同施設で朝食をとろうと開場を待っていた。

だが朝食を受け取るために列に並んだ直後に発作を起こして倒れ、息絶えた。施設側は医療班による対応と救急車の手配を行ったが、蘇生できなかった。同氏は薄い上着しか着ておらず、倒れる前には歩行や発話が困難になる低体温症の症状を呈していたという。

同施設は路上生活者の収容施設ではないが、路上生活者にも食事を提供している。また、ファリア氏が亡くなってから数時間後には別の路上生活者が体調を崩して手当てを受けた。この男性も低体温症を起こしていた。

サンパウロ市保安局によると、ファリア氏の件は市警第8署が捜査中だ。

18日朝6時台のサンパウロ市の気温は北部サンタナ区の観測地点で6・8度とされている。この気温は5月としては1990年以降の最低気温だ。それまでの今年の最低気温は4月16日の13・1度だった。強風も吹き、市極南部などの体感気温は零下4度だった。

寒さの影響は公共交通機関にも出た。一例は同市を東西に走る地下鉄3号線で、空気圧で動くブレーキや扉が機能しなくなり、車庫に回収されたため、間引き、減速運転となったという。寒さによる死者は、サンパウロ大都市圏マウア市でも報告されている。

高波による浸水や強風による家屋損壊、停電などの被害が出ていたブラジル南部では、サイクロンがリオ州沖に抜け始め、寒さが少し緩み始めたが、山間部ではまだ1~2度台を記録している。

南極からの寒気団とサイクロンによる強風の影響は広がり、ミナス州ベロ・オリゾンテでは19日朝、1979年6月に記録した3・1度に次ぐ4・4度を記録。連邦直轄区ガマでは史上最低の1・4度を記録した。中西部を超えた寒波はアクレやアマゾニア、ロンドニアにも達し始めている。