[トンガ大規模火山噴火がもたらす「2022年は冷夏」の不安]という日刊ゲンダイの記事

 

(参考記事) 西暦536年からの十数年間「地球から太陽の光が消え暗黒の世界となった」。無数の人々の命を奪ったこの現象の原因は海底火山の噴火である可能性が高まる (In Deep 2019/12/22)


日本各地にも深夜に津波が…トンガ大規模火山噴火がもたらす「2022年は冷夏」の不安

日刊ゲンダイ 2022/01/17

日本時間の15日午後1時10分ごろに発生した南太平洋のトンガ諸島での大規模な火山噴火。これは首都ヌクアロファから北に60キロメートル余り離れた海底火山で、当初、気象庁は「日本での津波被害の心配はなし」としていたが、約11時間後の16日0時15分に津波警報・注意報を発表し、日本の広範囲で津波が観測された。気象衛星「ひまわり」による観測によれば、噴煙は高度およそ1万6000メートル、半径260キロメートルに広がるという。

そこで懸念されているのが、1991年6月に起きた20世紀最大級のフィリピン・ピナツボ火山大噴火との類似点だ。ツイッター上でも、〈1991年のピナツボ火山の巨大噴火と同程度かそれ以上ではなかろうか…〉〈91年に起きたピナツボ火山のときもこれほどのレベルじゃなかったような〉などと不安の声が相次いいる。

ピナツボ火山の場合、最初の噴火では7000メートル以上の噴煙だった。その後もしばらく噴火を繰り返した影響で、日本では93年夏の気温が平年より2~3度低くなる冷夏が襲った。

立命館大環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授は日刊ゲンダイの記事『相次ぐ噴火で火山灰蓄積…“災害級”冷夏の到来を専門家が指摘』(2019年1月22日公開)で、こう話している。

《大規模噴火で噴煙が1万メートルを超えると成層圏に達するので、地上に落ちず、成層圏に灰が滞留します。灰の蓄積で太陽光が遮られると、地球への日射が減り、冷害をもたらすのです。噴火後の冷害や飢饉は過去に何度も経験しています》

実際、93年は米が大凶作で、国産米は入手困難になり、タイなどから緊急輸入。「平成の米騒動」と呼ばれた。江戸中期の「天明の大飢饉」もそうだ。相次いで噴火した岩木山や浅間山の火山灰が要因で、日射量を低下させ、農作物に壊滅的被害をもたらしたとされている。

今回はピナツボ火山の最初の噴煙よりもはるかに高い。トンガ諸島での大規模な火山噴火はまだ1月だから、その影響が今年あってもおかしくない。年初から不安が募る。