アメリカ政府、10月中にデフォルトの可能性

 


米政府、来月資金枯渇も 「債務上限」で与野党対立

時事 2021/9/26

米連邦政府の「債務上限」問題が、議会の与野党対立で暗礁に乗り上げている。上限引き上げなどの措置を講じなければ、政府の財政資金は「10月中のいつか」(イエレン財務長官)に枯渇する見込みだ。しかし、野党共和党はバイデン政権による巨額の財政支出を批判し、与党民主党に協力しない方針を堅持している。

「問題に対処できなければ、深刻な国家安全保障上の損害になる」。クリントン政権当時のロバート・ルービン氏やブッシュ政権時のヘンリー・ポールソン氏ら、歴代財務長官6人は議会指導者らに宛てた22日付の公開書簡で、連邦政府が資金不足でデフォルト(債務不履行)に陥ってさまざまな行政機能がまひし、経済に大きな打撃を与えるリスクを警告した。

債務上限はこれまで何度も引き上げられてきた。ただ、近年は党派対立の深刻化で、交渉がこじれることが多い。オバマ政権下の2011年には、有力格付け会社が米国の信用格付けを引き下げ、株価が急落。金融市場が混乱する事態に見舞われたこともある。

民主党は21日、過半数を握る下院で、債務上限の適用を22年末まで一時凍結する法案を可決した。一方、与野党が50議席ずつで拮抗する上院では野党の協力が不可欠だ。

ところが共和党は、上院トップのマコネル院内総務が「民主党が歴史的な巨額支出を望むなら、われわれの助けなしに債務上限を引き上げなければならない」と対決姿勢むき出し。バイデン大統領が看板に掲げる政策の教育や子育て、気候変動対策を盛り込んだ3兆5000億ドル(約390兆円)規模の財政出動に反対で、協調には程遠い。

一方、民主党が譲歩し、財政出動を縮小すると、今度は党内左派の反発を招くことになる。債務上限をめぐる与野党の「危険なゲーム」(大手格付け会社)は、落としどころが見えない状況だ。