中国恒大、なぜ経営危機? 政府の方針転換に翻弄
時事 2021/09/25
中国不動産開発大手の中国恒大集団が経営危機に陥った。負債は国内総生産(GDP)の2%に相当する約33兆円。国内外で不安が広がっている。
―どんな状況なのか。
恒大は23日にドル建て社債の利息を支払う約束だったが、米メディアによると、資金不足で支払うことができなかった。
―今後どうなる。
期日を過ぎても、30日以内に支払えば大目に見てもらえる。ただ、それもできなければ、元本も返せない「デフォルト(債務不履行)」状態に陥ったと見なされ、信用を失う。銀行取引などは難しくなり、経営破綻の可能性が高まる。
―倒産しそうなのか?
恒大は電気自動車(EV)事業や、香港に保有するオフィスビルなどを売却して資金を確保し、利息の支払いに充てようとしている。売却交渉は行われているが、30日以内にまとまるかどうか分からない。
―危機の背景は。
中国政府は経済成長の重要な担い手として、不動産業界の発展に力を入れてきた。ただ、住宅価格が高くなり過ぎたため、業界への融資を抑えるよう、国内の銀行に指示した。恒大は新たな借り入れができなくなり、資金繰りが悪化した。政府の方針転換に翻弄(ほんろう)された格好だ。
―影響は?
大半の建設工事がストップし、住宅購入者に物件を引き渡せなくなっている。また、恒大がお金を集めるために販売した高利回りの投資商品は利払いが滞り、商品購入者が本社に詰め掛ける騒ぎも起きている。
―問題は広がる?
恒大と同じように多額の借り入れに頼ってきた不動産開発会社が行き詰まっている。万一破綻が相次ぐと、融資した銀行の経営も悪化しかねない。景気への影響も心配だ。
―「リーマン・ショック」のようになるのか。
専門家の間では、世界中を巻き込む金融危機にはならないとの見方が優勢だ。中国指導部は、極めて重要な共産党大会を1年後に控えて社会の安定を最重視している。金融危機は全力で阻止するだろう。ただ、これだけ巨大な不動産会社の経営危機は中国で過去に例がなく、政府の対応がどうなるか不透明だ。