信用格付け機関ムーディーズが、アメリカの銀行システムの見通しを「安定からネガティブ」に引き下げ

 

この記事に出てくる「未実現の損失」は、以下の記事にあります。

[記事] 「崩壊は一瞬で起こり得る」:迫るメルトダウンのメカニズムがようやく理解できました。そこには驚くべき事実が存在します
In Deep 2023年3月14日

アメリカの主な「未実現の損失」は、連邦預金保険公社 (FDIC)によれば、以下のようになります。日本円で示します。

・米国の銀行全体 87兆円

・連邦準備制度  44兆円

 


米国の銀行システムの見通しが「ネガティブ」に格下げ

Epoch Times 2023/03/14

US Banking System Outlook Downgraded to ‘Negative’

信用格付け機関のムーディーズ・インベスターズ・サービスは、最近のシリコンバレー銀行、シグネチャー銀行、シルバーゲート銀行の急速な下落と崩壊を受けて、3月14日に米国の銀行システムの見通しを引き下げた。

ムーディーズは、「シリコンバレー銀行(SVB)、シルバーゲート銀行、シグネチャー銀行での預金実行後の事業環境の急速な悪化を反映して、米国の銀行システムに対する見通しを安定からネガティブに変更したとムーディーズは 3月12日の午後のレポートで述べた。

複数の報道機関によると、「これらの銀行の操業状況は急激に悪化した」とも記されている。

ムーディーズはレポートで以下のように述べた。

パンデミック関連の財政刺激策は、10年以上にわたる超低金利と量的緩和とともに、米国の銀行部門で大幅な過剰預金の創出をもたらした。これにより、資産負債管理の課題が生じており、一部の銀行は、米国の金利が急速に上昇している間に価値を失った長期の債券に過剰な預金を投資している

シリコンバレー銀行、シルバーゲート銀行、およびシグネチャー銀行での銀行の取り付け騒ぎは、投資家と預金者の両方からの信頼の危機につながった。

顧客が資金を保留するための、より安全な代替手段を探しているため、「実質的な未実現の有価証券損失」と無保険の預金を抱えていた貸し手たちが、より大きな打撃を受ける可能性がある

報告書によると、ムーディーズは、「証券の未実現損失が大きく、米国の小売業者や保険に加入していない預金者がいる銀行は、預金者の競争や最終的な逃避に依然として敏感であり、資金調達、流動性、収益、資本に悪影響を与える可能性がある」と述べた。

アメリカのレイオフが 2009年以来最速のペースで急上昇

 


不況の警告?レイオフが2009年以来最速のペースで急上昇するにつれて、失業中の請求がついに増加した

SHFT plan 2023/03/09

Recession Warning? Jobless Claims Finally Rise As Layoffs Soar At Fastest Pace Since 2009

米国のレイオフが 2009 年以来最速のペースで急上昇する中、失業保険の請求がついに増加した。

チャレンジャー & クリスマス社の調査によると、米国を拠点とする雇用主は 2 月に 77,770 人の雇用削減を発表した。

昨年同月に発表された1万5245回の解雇よりも 410%多い。2月の合計は 2009年以来の月間としての最高の数となる。

今年これまでのところ、雇用主は 180,713人を削減する計画を発表しており、2022年の最初の 2か月で発表された 34,309人削減から 427% 増加している。

チャレンジャー & クリスマス社は以下のように述べた。

「確かに、雇用主はFRBの利上げ計画に注意を払っています。多くの企業が数か月前から景気後退を予測しており、他の場所でコストを削減しています。 事態が冷え込み続ければ、レイオフは通常、企業のコスト削減戦略の最終手段となります」

「現在、圧倒的な量の解雇がテクノロジー企業で行われています。個人消費が経済状況と一致しているため、小売業と金融業も現在人員を削減しています。2月には 30 業種すべてで人員削減が発生しました
zerohedge.com

最も大量の解雇が続いているのが、テクノロジー企業だ。

これらの雇用喪失は、Google、Meta、および Microsoft など、テクノロジーセクターの最大級の企業のいくつかによって促進された。

ほとんどのアメリカ人が、賃金の停滞とインフレのピンチを感じている。

これは新たな大不況の始まりなのだろうか?

米国の雇用も減少している。企業は 2月に 28,830人の従業員を雇用する計画を発表した。これは、1 月に発表された 32,764人から 12%減少している。そして、2022年 2月に企業が発表した 215,12 人の雇用計画からは実に 87%減少した

今年これまでのところ、企業は 61,594人の従業員を雇用する計画を発表しており、これは 1月から 2月までの合計で 2016 年以来の最低となっている。

米アップルが社員のボーナス支給を延期。新たな雇用も凍結

 


アップルはボーナスを延期し、雇用凍結を実施すると、レポートは言う

zerohedge.com 2023/03/15

Apple Delays Bonuses And Implements Hiring Freeze, Report Says

これまで、Apple はテクノロジー業界のコスト削減の波の中で例外的な存在だった。

ブルームバーグのレポートによると、Apple の新しいコスト削減戦略に詳しい個人が、Apple が特定の企業部門のボーナスを延期し、業務を合理化するためのより効率的な対策を実施することを明らかにした。

計画では、賞与の頻度を年 2回から 1回に減らすことが求められている。4月に予定されていたボーナスは10月に延期される。

ブルームバーグは、「アップルの部門の大部分は、ソフトウェアエンジニアリングやサービスを含むボーナスやプロモーションを年 1回のスケジュールにすでに移行していたが、オペレーション、企業の小売、その他のグループのスタッフは、依然として半年ごとの計画のままだった」と指摘した。 .

これとは別に、Apple はいくつかの職種の募集を凍結し、従業員が退職する際に欠員を空けておく。Appleが人員を削減するかどうかについての言葉はなかった。

しかし、ニューヨークポストの情報筋は先月、「Apple は請負業者を解雇している」 として以下のように詳述した。

通常 12~ 15か月ごとに更新される契約が期限切れになるのを待つ代わりに、Apple は請負業者を完全に解雇していると情報筋は述べた。ある請負業者は不意を突かれたと主張し、Apple の経営陣はすべての仕事が安全であると彼に保証したと言った。ほんの数週間前、Apple が他のテック企業のように過剰に雇用していないことをうれしく思っていた人もいた、と情報筋は付け加えた。

テクノロジー業界全体が、世界で最も価値のある企業がコスト削減策と雇用凍結を実施するように設定されているという報告について懸念する必要がある。

さらに、地方銀行の危機を引き起こした連邦準備制度理事会の役割を考えると、今後の危機がどれほど深刻になるか、または景気後退につながる可能性があるかどうかは不明だ。

Apple は売上の減少に直面しており、コスト削減策を採用せざるを得なくなるだろう。同社がこれらの新しい計画をいつ発表するかは不明だ。

[まだある「債券巨額含み損」]という東洋経済の報道

 

(※) 以下の記事で書いた内容と同様のことなんですが、東洋経済にこういう記事が出るということは、専門家たちは以前から知っていたということのようです。

[記事] 「崩壊は一瞬で起こり得る」:迫るメルトダウンのメカニズムがようやく理解できました。そこには驚くべき事実が存在します
In Deep 2023年3月14日


まだある「債券巨額含み損」米銀破綻の次に注意

東洋経済 2023/03/15

欧州に危機のマグマ、クレディ・スイス株価に黄信号

田渕 直也 : ミリタス・フィナンシャル・コンサルティング代表取締役

3月10日、全米16位のシリコンバレー銀行(以下SVB)が破綻、市場にはショックが走った。

SVBは、その名の通り、ハイテクのメッカであるカリフォルニア州シリコンバレーにある中堅銀行で、預金の受け入れについても、貸し出しについても、ハイテクやヘルスケア関連のスタートアップ企業が非常に多いというやや特殊な銀行である。

米銀の破綻としては史上2番目の規模とされているが、その資産総額は2090億ドル(およそ28兆円)、最大手のJPモルガンと比べると17~18分の1、業態は違うが2008年に破綻したリーマン・ブラザーズの3割程度である。

リーマンのように金融市場で大きな存在感を示す存在だったわけでもなく、そうした意味ではSVBの破綻そのもののインパクトはそれほど大きいわけではない。だが、これは氷山の一角と捉えるべきものであり、水面下で何が起きているのかが重要な点である。

SVBはなぜ破綻したのか

まず、簡単にSVB破綻の構図を見ておこう。SVBはコロナ後の金融緩和の中、2020年から2022年初までのわずか2年で、預金残高を3倍超と急激に伸ばした。そして、その急増する預金の大半を国債や住宅ローン担保証券(RMBS)などの債券投資に充てていたのだ。

これらの債券は、債務不履行(デフォルト)に陥るリスクが極めて低い安全資産とされるが、金利の上昇によって価格が下がるリスクはある。

とくに満期までの期間が長い債券はそのリスクが大きい(ちなみにRMBSは通常、満期までの期間が長く、さらに金利上昇時には普通の債券よりも価格が下がりやすくなるという性質をもっている)。

2022年以降、FRB(連邦準備制度理事会)による急激な利上げが始まると、これらの債券の価格は大きく下がり、SVBは大きな含み損を抱えるようになった。債券の含み損というのは、今売却するといくら損するかを示すものである。

売らなければ損は表面化しないが、表面化しない場合でも、債券の収益性が今の金利に比べて低くなっていることを表すものとなる。

一方で、急激な金利上昇は、2つのルートで預金の流出を招く。1つ目は、国債などの利回りが上昇するにしたがって、低利の預金に魅力がなくなり、債券に資金がシフトすることによるものだ。

2つ目は、SVB特有の要因であるが、金利上昇でベンチャーキャピタル(VC)やプライベートエクイティ(PE)ファンドの資金力が落ち、スタートアップ企業の資金繰りが厳しくなって、預金引き出しが増えることによるものである。

債券投資の原資である預金残高が減少すれば、債券を満期まで保有し続けることができず、損失覚悟での売却を余儀なくされる。

預金残高の減少を抑えようと預金金利を大幅に引き上げれば、今度は低利の債券利回りよりも資金調達コストが上回って逆ザヤとなってしまう。

結局SVBは、

 

1. 預金の減少を食い止めることができずに債券売却を迫られ

2. 巨額損失の発生と資金繰り難によって信用不安が高まり

3. 頼みの綱の緊急増資計画も失敗に終わった

 

といういう一連の流れにより、破綻を余儀なくされたのである。

 

システミックリスクに発展する可能性は低い

先述の通り、SVBの破綻そのものは、その規模や金融市場でのプレゼンスからして、ただちに金融システム全体を揺るがすシステミックリスクにつながるようなものではない。

ただし、この手のショックは、ある程度、他に波及することが避けられない

たとえば、早速3月12日に、シグネチャーバンクという暗号資産関連の取引が多い銀行が破綻している。シグネチャーバンクは規模でいうとSVBの半分程度なので、やはり単独のインパクトはそれほど大きくないが、預金者の不安心理が広がれば、次に何が起きるかわからなくなる。

その点では、SVBについても、シグネチャーについても、アメリカ当局は預金を全額保護する方針を固めており、いわゆる“取り付け騒ぎ”の広がりはある程度抑えられるだろう。

いずれにしても、最も肝心な点は、こうしたショックが大手行にまで波及するかどうかである。今のところ、大手を巻き込む形で危機が拡大すると見る向きは少なく、その通りであれば、株式市場の動揺も早晩落ち着くはずである。

そのように見られている背景としては、なんといっても2008年のリーマンショック以来、様々に規制が強化され、総じて大手行の資本基盤は以前よりもはるかに頑健になっていることが挙げられるだろう。

このようなことから、今回のSVBショックが金融危機のような事態に発展する可能性は今のところそれほど高くはない。「SVBという特殊な銀行による特殊な事例」と見る向きすらある。

だが、この手のショックは必ず何らかの波及効果を持つ。まず、ある程度見えている波及効果としては、SVBやシグネチャーの顧客であるテック系スタートアップ企業や暗号資産業界への悪影響である。こうしたセクターは金利上昇ですでに強い逆風を受けているが、取引銀行の破綻でさらに資金繰りが厳しくなることが予想される。

 

水面下には債券巨額含み損の存在

それ以上に大きな懸念は、SVBやシグネチャーの顧客構造が特殊ということはあるにしても、金利上昇に伴う債券含み損の拡大という問題は、多くの金融機関に共通するは目ものだということである。

下のグラフは、10年物アメリカ国債利回りの推移である。昨年来の債券利回りの上昇(債券価格の下落と同義)が近年の金利変動の中でも、いかに強烈なものであるかがわかる。

たとえば1994年の債券利回り上昇は、多くのファンドや金融機関に損失を発生させ、“1994年の大虐殺”と呼ばれる事態を招いた。昨年来の利回り上昇幅とスピードは、そのときをはるかに凌ぐ。

しかも、アメリカ国債の残高(時価ベース)は近年急激に増加しており、その一部はFRBが保有するとはいえ、民間部門の保有額は1994年当時とは比べものにならないだろう。つまり、市場のどこかには、それだけ巨額の債券含み損が発生しているということである。

それが全く表面化することなく、何ごともなく過ぎ去ることの方が考えにくいことなのだ。つまり、SVBショックがそのうち落ち着いたとしても、別のショックが表面化するリスクは消えない

その点で、気にすべきは欧州であるかもしれない。欧州も同じように金利上昇に伴う債券の含み損が多く発生しているはずである。それに加えて欧州には、もともと経営基盤が脆弱な大手銀行がいくつか存在する。

たとえばクレディ・スイスは、大手取引先であったヘッジファンドの破綻や数々のスキャンダルで経営危機が囁かれ、株価は大きく下がっている(下チャート)。SVBショックと直接の関係はないが、あらためてその経営の持続性について市場での疑心暗鬼が膨らみ始めている。

金融システムは、結局のところ信頼で成り立っているのである。何かをきっかけに信頼が崩れてしまえば、市場はただ恐怖が支配する場となり、そうなれば合理的な予想は意味をなさなくなる

2008年のリーマンショックのとき、経営基盤が比較的しっかりしていたモルガン・スタンレーやゴールドマン・サックスでさえ、不安心理の高まりによる資金流出で危機にさらされた。そのことを忘れるべきではないだろう。

最後に、このような潜在的リスクがある以上、FRBによるこれからの利上げは困難を伴うものとなろう。金利が上がり続ければ、同じようなショックがまたどこかに発生する可能性が高まるからだ。

そうした意味でも、SVBの破綻は相場局面を大きく変える分水嶺となるかもしれない。

クレディ・スイスの破綻リスク (CDS)指数がさらに急激に上昇。株価は史上最安値に

 

(※) CDSとは、「クレジット・デフォルト・スワップ」といい、 企業や国などの破綻リスクを売買する金融派生商品で、投資対象の破綻に備えた保険の機能を持ちます。

3月14日のクレディ・スイスのCDS指数は前日比80%上昇

zerohedge.com

株価は史上最安値

zerohedge.com

次は米ファースト・リパブリック銀行の模様

 


米銀ファースト・リパブリック、寄り付きで過去最大の67%安 – シリコンバレー銀行の混乱広がる

bloomberg.co.jp 2023/03/13

13日の米株式市場で、ファースト・リパブリック・バンクの株価が急落し、混乱はなお収まっていない。同行は流動性を確保したと発表し投資家を安心させようとしたが、寄り付きで過去最大となる67%安を記録した。

この急落後にファースト・リパブリックの株式は売買が停止された。同行は12日遅く、米連邦準備制度やJPモルガン・チェースなどとの取り決めを通じ、700億ドル(約9兆4000億円)余りの未使用の流動性を確保したことを明らかにしたが、下げが加速している。

同行は発表文で、「連邦準備制度からの追加借入枠や連邦住宅貸付銀行(FHLB)を通じた資金調達への継続的アクセス、JPモルガンを通じた追加の資金調達能力が、ファースト・リパブリックの既存の手元流動性を高め多様化し、一層強化する」と説明。連邦準備制度の新たな融資ファシリティーを通じ、さらに多くの流動性が利用可能になると付け加えた。