正月からいい話じゃないかと思いました。私も、「がんじゃなくて、抗がん剤が原因なのでは?」という死をいくつか見てきましたので、自分の将来もこういうことを考えておいたほうがいいなと思いますね。
「がんが大きくなっても歩けるなら死なない」2000人以上を看取った緩和ケア医
GOETHE 2026/01/01

不健康寿命が延び、ムダな延命治療によってつらく苦しい最期を迎えることへの恐怖が広がる今、「長生きしたくない」と口にする人が増えています。元外科医で2000人以上を看取ってきた緩和ケア医・萬田緑平先生が、先行き不透明な超高齢化社会において、家で自分らしく最期を迎えるために、何を選び、何を手放すべきかを語ります。『棺桶まで歩こう』から一部を抜粋してご紹介します。
抗がん剤をやめて、歩きだしたら元気になった
ほとんどの人は、「がんが大きくなると死んでしまう」と思っています。だから、がんをとるため手術をする、あるいは抗がん剤や放射線でがんを叩く治療が行われます。
「抗がん剤で治療するしか、生きる方法はない」と思っていたがん患者さんが僕の診療所に来ます。そういう方はむしろ、抗がん剤で身体が弱ってしまっているのです。まず、抗がん剤をやめ、歩きだすと元気になり、「あと数日」と言われた方が何カ月、何年も生きた例をたくさん見てきました。
人間は、「がんが大きくなったから」死ぬのではなく、身体が弱って死ぬのです。だから本人がまだがんばれる、がんばって歩けるなら、寿命は延ばせます。がんが赤ちゃんの頭ほどの大きさになっても、歩けるのです。
ただ、僕は「こうしなさい」とは絶対に言えません。
病院で手術するのか、抗がん剤治療を受けるのか、あるいは何もしないのか、それは本人が決めることだと思っています。
母親ががんになり、娘が治療法をたくさん探してきて、「この治療をしなさい」というケースがありました。でも母親は、その治療法はしたくないと拒絶します。
現在はものすごい量の情報が手に入ります。しかも、がん治療というのはどんどん進んでいますから、娘さんも母親のためにいろいろ集めたのでしょう。「お母さんは知らないから決められない。だから、私が調べて決める」という子も多いのです。気持ちはわかりますが、本人がしたくないなら、それでいいのです。
僕は娘さんに言いました。
「あなたは、何人の男性を見て旦那さんを選びましたか? この世に何億人といる男性を全部見たのでしょうか。もしかして最初の彼と結婚しませんでしたか?」
人間とはそんなものだと思います。結婚相手、仕事選びも、自分の知っている範囲で、自分がいいと思って決断するのです。そうやって人生を決めていくのがいいと、僕は思っています。治療法も同じで、本人が知っている範囲から選べばいいのです。
子どもが「この人と結婚したい」と言うなら、喜んで応援する。親が「この治療がいい」と決めたなら、信じて応援する。それでいいのではないでしょうか。
もし、何も治療しないというのなら、それでもいい。それがその人の人生なのです。
「もう治療したくない」という人だけを診る医者
僕は、がん治療は「ギャンブル」だと思っています。
経験上、人は抗がん剤治療をしないほうが長生きできるとも思っています。
例えば最近、「がんは治る病気です」とよく言われます。「早期発見すれば治ります」との主旨ですが、治るということはそれは「がん」ではないのです。
「早期がん」と限るのは、がんになる前のもので、がんにならない良性腫瘍も含まれている可能性があるのです。つまり、がんになる悪性もあるけれど、がんにならない良性もたくさんある。「早期がん」で手術して治ったということは、「がんにならないもの」を取っただけかもしれません。
以下は、オリジナルの記事からどうぞ。