トンガ噴火、ワカメ養殖にも深刻被害…設備ほぼ壊滅

 


トンガ噴火、ワカメ養殖にも深刻被害…設備ほぼ壊滅

読売新聞 2022/01/19

トンガ近海の海底火山の噴火で潮位の上昇が観測された宮城県内沿岸部で、養殖ワカメを中心に漁業設備に深刻な被害が出ていることが17日、わかった。

県漁協塩釜総合支所によると、管内のワカメの養殖設備は団子状に絡まるなどして修復不能となり、ほぼ壊滅状態という。確認できた塩釜市第一支所の生産者全16人のうち、被害が出なかった人はおらず、無傷で残ったのは1~2割にとどまるとみられる。

養殖ワカメは現在、新芽の柔らかい食感が特徴の「早採りワカメ」の最盛期。傷が入ると商品価値が下がり、廃棄することになる。漁協担当者は「潮位変化によって海中の水が何度も行ったり来たりして、設備のアンカーが抜けてしまう被害が多数確認された。春に向けて本格的な収穫時期に入るところで、危機的な状況だ」と話す。詳しい被害状況を調べ、県や塩釜市などに支援を求めるという。

総合支所管内では、このほか、ノリの設備の一部でも被害を確認している。

一方、東松島市宮戸の松ヶ島漁港では同日午前、転覆した2隻の小型漁船を引き揚げた。少量の油の流出がみられ、関係者が吸着マットなどで対応にあたった。第2管区海上保安本部などは、狭い入り江の複雑な地形で波が高くなった可能性があるとみている。