mRNAワクチン接種後の心筋炎の予防にはビタミンDが有効という研究





BNT162b2ワクチン関連急性心筋炎におけるビタミンDの保護的役割

frontiersin.org 2025/02/19

The protective role of vitamin D in BNT162b2 vaccine-related acute myocarditis

はじめに:

ワクチン関連心筋炎は、特に大規模な mRNA COVID-19ワクチン接種後には、稀ではあるものの重要な合併症として認識されている。しかし、リスクを最小限に抑える方法に関する知見は限られている。

mRNA COVID-19ワクチン接種後の急性心筋炎は NK 細胞によって媒介され、ビタミンDはサイトカイン調節を介して NK 細胞を抑制する可能性があることから、心筋炎の副作用はビタミンD欠乏症、mRNAワクチン、高サイトカイン血症、NK 細胞という一連の経路に関連しており、臨床介入によって改善可能であると仮説を立てた。

方法:

BNT162b2 ワクチン (ファイザーワクチン)関連急性心筋炎の患者 60名を対象に、生化学、免疫表現型、遺伝子型解析を実施し、ビタミンDの状態と免疫プロファイルを調べた。

結果:

ワクチン関連心筋炎の患者、特に胸痛または集中治療室(ICU)入院を呈した患者では、ビタミンD欠乏症の発生率(73.3%)が高かった。

さらに、ビタミンD値はワクチン関連心筋炎中の血清心筋トロポニンT (心臓障害の指標)ピーク値と負の相関があった。

機序的には、ビタミンD欠乏症は、NK 細胞にとって極めて重要なサイトカイン(特にインターロイキン-1β、インターロイキン-12、インターフェロン-γ、およびインターロイキン-8)の高レベルおよび血中 CD69 (リンパ球の活性化後に細胞表面に現れる糖タンパク質)+ NK 細胞の割合の上昇と相関し、これが胸痛の呈示と相関していた。

結論:

これらのデータは、ビタミンDが炎症誘発性サイトカイン環境とそれに続く不利な NK 細胞活性化を調節することで mRNA ワクチン関連心筋炎を緩和する上で重要な役割を果たし、予防および治療戦略の基礎を築くという仮説を支持している。