「一酸化窒素の産生障害がCOPD(慢性閉塞性肺疾患)を引き起こす」ことを琉球大学の研究チームが発見

 
(※) ネイチャーに掲載された論文は以下だと思います。

Spontaneous pulmonary emphysema in mice lacking all three nitric oxide synthase isoforms

そして、この「一酸化窒素」についての参考記事は以下となります。

マスク社会の悪影響のメカニズムが出揃った感。鼻呼吸の不足による「一酸化窒素の消えた人体」の将来。特に子どもたちの (In Deep 2020/11/20)


世界初、肺気腫の発症原因の一つを発見 琉大筒井教授ら研究チーム 一酸化窒素が影響

琉球新報 2021/11/11

琉球大学大学院医学研究科薬理学講座の筒井正人教授らの研究チームは11日、一酸化窒素産生障害が肺気腫を引き起こすことを世界で初めて発見したと発表した。日本には肺気腫と、それに伴い発症しやすい慢性気管支炎の患者が約530万人いると推定され、日本人の死亡原因の第9位を占めている。

しかし肺気腫は発症の分子機構に不明な点が多く、有効な治療法の開発が進んでいない。今回、肺気腫の発症原因の一つを突き止めたことで、新しい治療法開発が期待できる。

肺気腫は、本来の肺構造が破壊されて肺に空気がたまり、うまく息を吐けなくなって息切れをきたす病態。慢性気管支炎を伴うことが多く、総称して慢性閉塞性肺疾患(COPD)と呼ばれている。

日本では高齢化のため、COPD患者が増加し続けていて、約10年後には死亡原因の第3位になると予想されている。

COPDの最大原因は喫煙と分かっているが、発症のメカニズムが明らかになっていないため、禁煙や気管支拡張薬などの対症療法にとどまっているのが現状だ。

筒井教授らはCOPD発症メカニズムの研究過程で一酸化窒素が影響していることを予想。一酸化窒素を合成する機能(一酸化窒素産生)を欠損させたマウスで、肺や肺機能にどのような影響が出るか検証した。

結果、肺気腫患者に特徴的な病態を確認できたため、一酸化窒素産生障害が肺気腫発症の原因の一つであると明らかにした。

研究は琉球大、産業医科大、東北大、鹿児島大の共同研究。研究成果は11日に、国際学術誌サイエンティフィックレポートに掲載された。