[SARS-CoV-2 は発がん性ウイルスなのだろうか]という論文。ゲノムの守護者と呼ばれるp53というものを分解するそう

 

(※) 論文自体は 2022年11月のものですが、最近知りました。「p53」という、ガン抑制遺伝子が、SARS-CoV-2 によって「制御される」と。つまり、ガンを抑制するメカニズムがひとつ減るということのようです。

p53とは以下のようなものだそうです。知りませんでした。

> p53は、細胞がストレスやDNA損傷などの「危険信号」を察知すると活性化するがん抑制遺伝子です。がんを防ぐためにその他の様々な遺伝子に命令を出す司令塔の役割をするのでゲノムの守護者とも呼ばれます。
rivercity-clinic.jp

論文の内容は、部分的によくわからず、単なる翻訳ですが、少し理解できた時には、ちゃんとした記事にしてみたいと思います。


SARS-CoV-2 は発癌性ウイルスなのだろうか

Journal of Infection 2022/11

Is SARS-CoV-2 an oncogenic virus?

最近、このジャーナルで、Wu らと Gao らの両方が、COVID-19 に関連する宿主の遺伝的変異が子宮内膜がんに関連している可能性があることを示した。

ここでは、重症急性呼吸器症候群コロナウイルス2 (SARS-CoV-2) とがんとの関係が、ヒトの発がんの深刻なリスクを表す他のいくつかの感染症と一致して、より一般的である可能性があることを裏付ける遺伝子発現解析からの証拠を追加する。

SARS-CoV-2 は、エプスタイン-バーウイルス (EBV) および B型肝炎ウイルス (HSV1) と同様の戦略を開発し、ウイルス抗原を介してタンパク質をハイジャックし、最終的にその分解をもたらすことによって p53 を制御した。

具体的には、SARS-CoV-2 の Nsp2 ウイルスタンパク質は、主にミトコンドリアに位置し、ミトコンドリア DNA 活性の維持に重要な役割を果たすプロヒビチン1 および 2 (PHB1、PHB2) と相互作用する。

それらの枯渇は、活性酸素種(ROS)の核への漏出と酸化的損傷につながる一連の細胞応答を引き起こし、最終的にp53依存性遺伝子のトランス活性化の障害を引き起こす。

さらに、Nsp3 SARS-CoV-2 タンパク質は、RING フィンガーおよび CHY 亜鉛フィンガー・ドメイン-コテニン タンパク質 1 (RCHY1) および E3 ユビキチン・リガーゼに結合して活性化し、p53 の分解を促進する。

したがって、SARS-CoV-2 には、宿主細胞の外部および内部のアポトーシス経路を誘発する能力があり、その拡散を促進する。

p53の障害は、ウイルスが感染の急性期に自身の利益のためにこのタンパク質によって制御される細胞経路を利用して、宿主の免疫応答を回避し、その複製を促進するための戦略と見なすことができる。

これに関連して、感染の急性期における p53の発現低下は、重症疾患のバイオマーカーでもある。