日本小児科学会が「4歳以下のコロナワクチン接種」を「公式に推奨」

 

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In Deep 2022年10月6日


生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種に対する考え方

日本小児科学会予防接種・感染症対策委員会 2022/11/02

2022年9月現在、国内における新型コロナウイルス感染症(以下、COVID-19)の感染者数の増加は少し緩やかになりつつありますが、2022年7月から始まった第7波では感染者数の急増に伴い、小児の患者数が増加し、それに応じて重症化する小児患者も増加しました。

当学会では2022年8月10日に「5~17歳のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨する」方針を提示しました。これはこの年代の小児において、新型コロナワクチンに関する有効性と安全性に関する情報が多く蓄積され、COVID-19の重症化予防に寄与することが確認されたことをふまえての判断でした。

生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種についても、これまでの5~17歳の小児におけるワクチンの有益性も考慮したうえで、メリット(発症予防)がデメリット(副反応等)を上回ると判断しています。

現時点では、有効性や安全性に関わるデータは限られてはいますが、当学会は、生後6か月以上5歳未満の小児への新型コロナワクチン接種を「推奨する」としました。

以下に考え方と知見を示します。

 

日本小児科学会は、生後6か月以上5歳未満のすべての小児に新型コロナワクチン接種を推奨します。

 

要約

小児患者数の急増に伴い、以前は少数であった重症例と死亡例が増加しています。成人と比較して小児の呼吸不全例は比較的まれですが、オミクロン株流行以降は小児に特有な疾患であるクループ症候群、熱性けいれんを合併する児が増加し、また、脳症、心筋炎などの重症例も報告されています。

生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの有効性は、オミクロン株BA.2流行期における発症予防効果について生後6か月~23か月児で75.8%、2~4歳児で71.8%と報告されました。

流行株によっては有効性が低下する可能性はありますが、これまでの他の年齢におけるワクチンの有効性の知見からは、重症化予防効果は発症予防効果を上回ることが期待されます。

生後6か月以上5歳未満の小児におけるワクチンの安全性については、治験で観察された有害事象はプラセボ群と同等で、その後の米国における調査でも重篤な有害事象はまれと報告されています。

なお、接種後数日以内に胸痛、息切れ(呼吸困難)、動悸、むくみなどの心筋炎・心膜炎を疑う症状が現れた場合は、すぐに医療機関を受診し、新型コロナワクチンを受けたことを伝えるよう指導してください。

ワクチン接種の考え方

小児をCOVID-19から守るためには、周囲の成人(養育者や小児に関わる業務従事者等)への新型コロナワクチン接種が重要です。周囲の成人が適切な回数(3回目または4回目)の新型コロナワクチン接種を受けることを推奨します。

COVID-19重症化リスクが高い基礎疾患のある小児に対しては、重症化予防効果の観点から、年齢にかかわらず新型コロナワクチン接種を推奨します。基礎疾患を有する小児へのワクチン接種については、本人の健康状況をよく把握している主治医と養育者との間で、接種後の体調管理等を事前に相談することが望ましいと考えます。

詳細については「新型コロナワクチン接種に関する、小児の基礎疾患の考え方および接種にあたり考慮すべき小児の基礎疾患等」(http://www.jpeds.or.jp/modules/activity/index.php?content_id=409)を併せてご参照ください。

生後6か月以上5歳未満の健康な小児へのワクチン接種を推奨します。健康な小児へのワクチン接種には、メリット(発症予防・重症化予防等)とデメリット(副反応等)を養育者が十分理解することが重要です。

その際に参考となる生後6か月以上5歳未満の健康な小児におけるワクチンの安全性・有効性に関する情報は海外のデータの集積があり、この年齢の小児においてもその効果と安全性に関する情報が集積されつつあります。

実際に接種する際には接種前・中・後にきめ細やかな対応が必要で、同調圧力が加わらないような配慮が必要です。

さらに、厚生労働省及び国立感染症研究所が、関係学会(日本小児科学会、日本集中治療医学会、日本救急医学会)と協力して実施した新型コロナウイルス感染後の20歳未満の死亡例調査結果(2022年1月~8月までに死亡した41例)によると、2022年8月31日時点で実地調査が実施できた症例は41例のうち32例であり、このうち、明らかな内因性死亡(外傷を除く疾病による死亡)と考えられたのは29例と報告され、この29例中の14例(48%)は5歳未満であったことなど、最新の国内小児疫学情報を十分理解しておくことも重要です。

ワクチン接種担当者は接種にあたっては、接種対象年齢により製剤の取り扱いが違うことに注意が必要です。12歳以上用、5~11歳用、生後6か月以上5歳未満用のワクチンでは、製剤・希釈方法・接種量・接種回数・保管方法が異なります。接種部位についても乳児や筋肉量の少ない一部の幼児については外側広筋への接種が推奨されます。

また、集団接種を実施する場合においても、個別接種に準じて、接種前の問診と診察を丁寧に行い、定期接種ワクチンと同様の方法で実施するとともに、母子健康手帳への接種記録を行うことが望ましいと考えます。

ワクチン接種を担う基礎自治体(市町村)は、郡市医師会と連携して乳幼児への接種機会の確保、接種券の速やかな発送や住民への情報提供に務めることが望まれます。

より詳細なデータが出た時点で、接種に対する考え方について随時検討する予定です。

(以下略。こちらからどうぞ)