[ウクライナ電力大手、インフラ復旧のための部品がほぼ底をつく]という報道

 


ウクライナ電力大手、インフラ復旧のための部品ほぼ払底と明かす

newsweekjapan.jp 2022/11/01

ウクライナでは、ロシア軍によるエネルギー施設への攻撃が相次いでおり、各地で停電や断水が発生している。そんななか、ウクライナ最大の民間電力会社であるDTEKが、停電の復旧に必要な予備部品が不足しつつあることを明らかにした。

過去1カ月、ウクライナ国内のエネルギー関連施設や水道施設への攻撃が相次いだことで、各種備品の在庫が急激に減っていることを明らかにした。

ロシア軍は10月31日にはウクライナに向けて50発以上のミサイルを発射。ウクライナ国内の配電網や水道関連施設が被害を受け、冬を目前に広い地域で停電が発生した。

DTEKの幹部ドミトロ・サハルクは同日、損傷した電力インフラを修理するための備品について、一部は購入することができたものの、部品の価格が「今では桁違いに値上がりしている」と述べ、一部地域では11月1日以降も停電が続く見通しだと明かした。

ウクライナでは10月上旬に、ロシア軍の攻撃により国内のエネルギー関連施設の約3割が被害を受けたとして、修理作業を行う間、計画停電を導入することが発表されていたが、今回エネルギー施設がさらなる被害を受けたことで、問題は深刻化している。

電力の輸入は可能か

ウクライナがエネルギー供給源の多様化を始めてから、まだ10年ほどしか経っていない。ところが今回の戦争が始まってすぐ、国内の電力供給の大半を担っていた原子力発電所がロシア軍の攻撃を受けた。

さらにもう一つの重要なエネルギー源である石炭の生産能力も打撃を受け、ウクライナはエネルギー供給源を天然ガスに切り替えざるを得なくなった。

エネルギー関連施設への相次ぐ攻撃を受けて、ウクライナのエネルギー相であるヘルマン・ハルシチェンコは、冬を乗り切るために電力を輸入しなければならない可能性があると明らかにした。

ウクライナの当局者らによれば、ロシア軍による10月31日の攻撃以前に、ウクライナ国内のエネルギー関連施設の約4割が破壊されたと推定される。

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルなどの人権団体は、「工業生産を弱体化させ、輸送を阻み、恐怖や絶望の種を撒き、厳しい冬が迫るなかでウクライナ市民から熱源や電力、水を奪う」試みだと非難している。

予報によれば、今年の冬は比較的暖かい日が続く見通しだが、ウクライナは冬に備えて、既にエネルギー供給体制を強化するための措置を導入し始めている。

当局はこの数週間、市民に対して午前7時から午後11時までエネルギー使用を控えるよう呼びかけている。

日本など複数の国が、ウクライナのエネルギーインフラの再建支援を約束しているが、ウクライナはEU(欧州連合)加盟国であるスロバキアなどの近隣諸国からのエネルギー輸入を模索し始めており、ロシア政府のさらなる反発を招いている。

ロシア安全保障会議のドミトリー・メドベージェフ副議長は先週、メッセージアプリ「テレグラム」への投稿の中で、「エネルギー供給を安定化させるために必要なことは、そういうことではない」と述べた。

「必要なのは、ウクライナ政府が、ロシアが特別軍事作戦の枠組みの中で提示した要求と、住民投票の結果に反映されたその結果(つまりロシアによるウクライナ4州の併合)の正当性を認めることだ。そうすれば電力供給をめぐる状況は改善するだろう」