浜名湖のアサリ激減 漁獲最盛期の60分の1 潮干狩り絶望的
あなたの静岡新聞 2022/02/03
浜名湖特産のアサリの不漁が深刻化している。2021年の漁獲量は100トンで、前年を85・9%下回り、3年連続で過去最低を更新した。1989(平成元)年以降で最も多かった2009年の6007トンに比べると、60分の1の水準にまで激減。中止が続く観光潮干狩りは22年も開催がほぼ絶望的な状況だ。
「以前は捕れない年があっても翌年には水揚げが回復していた。近年は不漁が続き、漁に出ない人が増えている」。ベテラン漁師の山本昌利さん(62)=浜松市西区=は、現況に強い危機感を抱く。
地元の浜名漁協(同区)のアサリ漁師は現在450人。5年前の約4分の3に減少した。漁協に所属しながら陸上で短期の仕事に就いたり、カキやノリの養殖業を手伝ったりして生活費を稼ぐ漁師も増えているという。
不漁の原因は特定されていないが、浜名湖では水温や塩分濃度の上昇、生態系を支える水草の消滅などさまざまな環境変化が起きている。さらに20年度にプランクトンが異常増殖する赤潮が広がり、アサリの幼生や稚貝が大量死した可能性があるとみられている。
同漁協は関係機関と連携して禁漁区域の設定や母貝保護、大型魚介類による食害対策などに取り組む。渥美敏組合長は「資源が一時回復したとしても手を緩めず、恒常的な対策を継続して推進していきたい」と強調する。
アサリは浜名湖最大の水産資源で、不漁の影響は地域経済に広がる。風物詩だった潮干狩りは最盛期に年間約30万人が詰め掛けたが、初めて中止した13年以降の9年間で春から夏にかけてのシーズンを通して開催したのは一度だけ。地元観光業者が待ち望む再開は遠のく一方だ。
浜名湖周辺の水産物販売店では愛知県など他産地のアサリを取り扱う店が増えている。昨秋から県外産を販売する浜松市西区の店舗経営者は「浜名湖産を求める来店者は多いが、入荷できずに困っている」と話す。