「情報通信業」の倒産 11年ぶり400件超





「情報通信業」の倒産 11年ぶり400件超

東京商工リサーチ 2025/01/29

小・零細規模のソフトウェア開発企業を中心に、情報通信関連企業の淘汰が続いている。2024年の「情報通信業」の倒産は425件(前年比21.7%増)で、2013年の450件以来、11年ぶりに400件を超えた。

業種別では、ソフトウェア業が223件(同12.0%増)で全体の半数(52.4%)を占めた。増加率では、映像情報制作・配給業(同41.0%増)、出版業(同39.1%増)などが高い。

情報通信業の倒産は、資本金1千万円未満(個人企業を含む)が258件(前年比30.9%増)で、6割を占める。2023年度の企業規模別の営業利益率も、大企業と中堅企業が11%台に対し、中小企業は5.7%にとどまり、規模による収益格差が鮮明に出ている。このため、赤字企業率も大企業が4.8%、中堅企業が12.7%、中小企業が22.0%で、中小企業は唯一、赤字企業率が上昇した。

情報通信業は参入障壁が低く、スタートアップ支援などで小資本での参入も容易な業界である。だが、下請けも多い産業構造から価格転嫁は難しく、業績改善が遅れた企業は少なくない。

DXやAIなど、情報関連の将来需要は拡大が期待されるが、技術の進歩が速い業界で将来を見据えた戦略を立てられない中小・零細企業の淘汰が、今後さらに進むことが危惧される。