これまで、「アスピリンの毎日の服用」が大腸がんの再発の予防になると言われてきました。これについての疑問は、10年前の記事ですが、以下に書いたことがあります。
・超病気の時代に生きる:「大腸ガンをアスピリンで予防する臨床試験」の報道を見て、そのNSAIDsにより死にかけた昔を思い出し…
In Deep 2015年11月30日
アスピリンは、NSAIDs (非ステロイド性抗炎症薬)というカテゴリーの薬で、胃潰瘍の原因薬品として知られていますが、そんなもの毎日飲んでいたら、大腸ガンの再発予防以前に体がどうかなってしまいます。NSAIDs は毎日飲むようなものじゃない。
そもそも解熱剤ですし、こんなものを毎日飲んでいたら、常に体温が低めの状態になってしまって何だか体に悪いです。
臨床試験でアスピリンは大腸がんの再発予防に効果がないことが判明
Medical Xpress 2025/01/20
Clinical trial finds no benefit from aspirin in preventing colorectal cancer recurrence
シンガポール国立がんセンターが主導する新たな国際臨床試験では、高リスクのデュークスBおよび C大腸がんに対する標準的な補助療法に続いて 3年間アスピリンを投与しても、大腸がんの再発予防に大きな効果は得られなかったことが報告されている。
大腸がんは世界で 3番目に多いがんで、2020年には 200万人の新規患者と 100万人の死亡が報告されている。
オキサリプラチン(抗がん剤)が大腸がん治療の追加薬として導入されてから 20年以上が経つが、新たな追加治療によって治癒率が大幅に改善されたことはない。
アスピリンは安価で、世界中で入手可能であり、患者の転帰を改善する可能性のある方法としてしばしば研究されている。COX-1および COX-2阻害剤として、遺伝性症候群におけるポリープの再発と大腸がんのリスクを軽減する可能性が示されており、その証拠は以前のランダム化試験によって十分に裏付けられている。
しかし、がん治療後のアスピリンの有効性に関するデータは、まだ結論が出ていない。
試験は 2009年に開始され、強力でランダム化された証拠を提供することを目的として設計された。
ランセット誌に掲載された「大腸がんの標準的な補助療法完了後のアスピリン(ASCOLT):国際的、多施設、第3相、ランダム化、二重盲検、プラセボ対照試験」という研究で、研究者たちは研究結果を発表している。
ASCOLTには、11の国と地域の 66のセンターで 1,587人の参加者が登録された。
研究者には、切除と少なくとも 3か月の化学療法を完了したデュークスCまたは高リスクのデュークスB結腸がん、またはデュークスBまたはC直腸がんの成人が含まれていた。
患者は 1:1の比率でランダムに割り当てられ、3年間、毎日アスピリン 200mgを服用するか、プラセボを服用するかが決められた。追跡調査は 5年間にわたり、定期的な診察と、病気の再発を特定するための推奨画像検査および大腸内視鏡検査が行われた。
結果では、アスピリン群の 5年無病生存率は 77.0%であったのに対し、プラセボ群では 74.8%であった。
同様に、アスピリン群の 5年全生存率は 91.4%であったのに対し、プラセボ群では 88.9%であった。研究者たちは、大腸がんの再発予防において統計的に有意な差はなかったと報告した。
どちらの場合も結果は良好であるように見えるが、ハザード比の信頼区間は、影響がない点を表す 1を横切っている。これは、肯定的な傾向が統計的に有意ではないことを示し、実際の影響は有益なものから無視できるもの、またはわずかに有害である可能性さえある。