ドイツの一般家庭のガス料金が3倍となり、今冬には年間44万円に (しかもまだ上がる)

(参考報道) ドイツで石炭輸送のルートであるライン川の水位が「航行不能となる水準」近くまで低下 (2022/08/03)


ドイツでは「ガス代が3倍」になり、まともに生活できなくなっている

COURRIER 2022/08/05

世界中で燃料価格が高騰し、日本でも電気やガス料金は上昇している。ロシアの天然ガスに依存していたドイツでは、ガス料金がなんと3倍にもなっている。ドイツ人は冬を越せるのだろうか……。

不足するヨーロッパへのガス供給

ウクライナ侵攻以来、それまでロシアから大量の化石燃料を購入していたEUは、ロシアに厳しい経済制裁を科した。それ以降、ロシアはヨーロッパのさまざまな国への天然ガス供給を停止、あるいは削減しており、各国で混乱が生じている。

「ハウスホールド・エナジー・プライス・インデックス」によると、ヨーロッパでは電力価格が昨年比で平均して42%上昇し、ガス価格は83%上昇したと、蘭メディア「ダッチニュース.nl」は伝える。

独メディア「ドイチェ・ヴェレ」によると、ロシアからドイツへの天然ガス供給は40%に抑えられていたが、7月26日にはさらに20%にまで削減された。

ドイツでは天然ガスが依然として全電力の14%の発電源になり、全土の約半数の家屋で暖房に用いられている。ドイツ政府は大量のガスが必要となる冬を前にその貯蔵を進めていた。すでにタンク総量の3分の2を蓄えていたが、今回の供給削減で、目標だった11月までの95%貯蔵が難しくなっている。

独誌「シュピーゲル」によると、ブリュッセルのシンクタンクは、まだ寒さが厳しいであろう時期に貯蔵ガスを使い切ると試算しているという。EU全体では2023年3月、ドイツでば同年2月に貯蔵ガスを使い切る可能性があるという。それを防ぐためにはEU全体で11%、ドイツでは22%以上の使用量削減が必要とした。

困窮する一般家庭

そんな危機的な状況のなか、ドイツでは2022年10月以降のガス料金が一気に約3倍に上昇し、住民は悲鳴を上げている。

100平方メートルの住居で暮らす平均的な4人家族の場合、1年で18000キロワット時を消費するが、昨冬に年間1080ユーロ(約15万円)だったガス価格は、今冬には年間3240ユーロ(約44万円)になる。

この金額ではガス料金を支払えない家庭も続々と出てくるであろう。しかし、ドイツ政府は特にガス料金の引き下げや直接的な支援策を積極的には取ろうとはしない。ドイツの経済学者たちが、ガス使用削減に対するもっとも強力なインセンティブはガス価格上昇だと政府に進言しているからだ。

政府機関は、国民に対してエネルギー節約を呼びかけ、温水を必要とするシャワー時間の制限、冬には部屋の設定温度を数度下げるなどの取り組みを求めている。

しかし、それではヨーロッパの長く寒い冬に暖房をつけられない家庭も多く出てくるかもしれない。

オランダやスウェーデンのガス料金は、ドイツよりもさらにずっと高額だ。EU内のインフレ率は、欧州委員会によると2022年6月時点で前年比9.6%に達した。

シュピーゲルの取材に対し、イギリスの年金生活者であるクリスティーン・イサーク(69)は、インフレによって生活は困窮し、生活を切り詰めていると語る。4人いる孫に会うための交通費を捻出するため、シャワーを浴びる回数を減らしている。秋以降はエネルギー価格がさらに高騰するため、暖房が使えないことのほうがコロナに感染するより恐ろしいと述べる。

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