「医療機関の休廃業と解散が過去最多」という帝国データバンクの報道

 

廃業しているのは圧倒的に診療所が多いのですが、「病院と診療所の違い」は、おおむね以下の違いのようです。いわゆる町の開業医院は、ほぼすべて診療所ということになるのですかね。

> 病院と診療所の違いは、まずベッド(病床)の数です。病床が20床未満であれば診療所、20床以上であれば病院。診療所のなかには、病床を持たない「無床診療所」が多く、2010年10月現在、99,824施設ある診療所のうち、89,204施設が無床診療所です。ちなみに、病院は、8,670施設あります。 全日本病院協会


医療機関の休廃業・解散、709件で過去最多 ~「診療所」の増加が著しく10年で2.3倍に~

帝国データバンク 2024/04/17

医療機関(病院・診療所・歯科医院)経営事業者の休廃業・解散が急増している。2023年度(2023年4月~2024年3月)は、倒産件数の12.9倍となる709件の休廃業・解散が確認され、過去最多を更新。10年前と比較して2.3倍に増えた。

背景には経営者の高齢化や後継者不在の問題がある。なかでも「診療所」の増加が著しく、事業を断念するケースは今後さらに増加することが予想される。

 

倒産件数の12.9倍、「診療所」「歯科医院」が過去最多

2023年度の医療機関の休廃業・解散件数は、前年度比37.1%増となる709件となった。これまで最多だった2019年度(561件)を148件上回り過去最多を更新した。

業態別にみると、「病院」が19件(構成比2.7%)、「診療所」が580件(同81.8%)、「歯科医院」が110件(同15.5%)となり、「診療所」と「歯科医院」が過去最多を更新。10年前と比較して「診療所」は2.4倍、「歯科医院」は2.8倍に増えた。

また、2023年度の休廃業・解散件数は、同年度に発生した倒産件数(55件)の12.9倍となった。業態別にみると「病院」は6.3倍、「診療所」は20.7倍、「歯科医院」は4.6倍となり、「診療所」の数値が突出して高くなっている。

 

後継者難・経営者の高齢化が深刻な「診療所」経営の実態

厚生労働省のデータによると、2024年1月末時点の医療機関施設数は、「病院」が8115施設、「診療所」が10万5304施設、「歯科医院」が6万6886施設となっている。

なかでも診療所は約5万7000店舗とされるコンビニ数の2倍近くもあり、人口減少のなかで競争が熾烈だ。

さらに日本医師会の「医業承継実態調査」(2020年1月)によると、診療所における後継者は、「後継者候補がおり、承継について意思確認済みである」が21.6%であるのに対し、「現段階で後継者候補は存在しない」が50.8%、「後継者候補はいるが、意思確認していない」が27.7%を占め、過半数の施設において後継者候補が存在しない状況となっている。

こうした実態を踏まえると、今後、一定期間を経て、代表の高齢化と後継者不在を理由に、事業継続を断念する診療所施設は現在よりもさらに増える可能性が高い。日本国内は高齢化がさらに深刻化していくが、その一方で「診療所」は相次いで姿を消していくことになるだろう。

(参考)医療機関の倒産、2023年度は55件で過去最多

倒産件数も過去最多を更新した。2023年度は55件となり、これまで最多だった09年度(45件)を10件上回った。

業態別にみると、「病院」が3件、「診療所」が28件、「歯科医院」が24件となり、診療所が2022年度(22件)、歯科医院が2013年度、2017年度(各17件)を上回って、それぞれ過去最多となった。

今後、休廃業・解散の増加とともに、高齢経営者の健康問題などをきっかけに法的整理に踏み切る診療所、歯科医院も増加することが予想され、医療機関の倒産件数も引き続き高水準で推移するとみられる。