沖縄本島の病床使用率が90%を超える

 


「物理的に困難だ」コロナ増床、スペースも人手も足りず 病床使用率90%超える沖縄本島の限界

沖縄タイムス 2022/07/31

新型コロナウイルスの感染拡大で、医療逼迫が著しい。沖縄本島では連日コロナ病床使用率が90%を超えている。入院者数が増え、新たなコロナ病床の確保は限界が近い。コロナ病床を一つ確保するのに一般病床約2床分のスペースが必要とされ、医療従事者の欠勤で人手も不足する。コロナ患者を受け入れる重点医療機関は診療や救急を一部制限せざるを得ない状況だ。

■何とかコロナ病床を捻出

県感染症医療確保課の担当者は「病院からは『一般病床を犠牲にすることになり、物理的に確保が困難だ』という声が寄せられている」と述べる。集中治療室(ICU)の場合は、一般病床約4床分のスペースが失われるという。

重点医療機関が新たに増える見込みは薄く、応援看護師の派遣や入院待機ステーションの拡充など、県の手札は限られている。

27日から重点医療機関となった那覇市のおもろまちメディカルセンターは、何とかコロナ病床を捻出した。担当者は「そうせざるを得ない状況があった」と明かす。発熱外来を持つ同院で感染が確認されても、他院に搬送できない事案が多発していた。

元々県に届け出ていた3床はすぐに埋まり、28日時点で5人の患者を受け入れた。担当者は「手助けできればと考えているが、実質は工夫して何とかやりくりしている」と話した。

■軽症の透析患者 自宅療養

コロナへの医療資源集中が進み、一般医療にしわ寄せが及んでいる。

県コロナ対策本部と医療機関の間で透析患者の受け入れ先を調整する比嘉啓医師は、透析治療への影響を懸念する。従来、感染した透析患者は入院して治療していたが、コロナ病床への転用などで、今は軽症や無症状なら自宅療養を余儀なくされる。

感染者の透析にも、細心の注意が求められる。「一般の患者と時間帯をずらしたり、職員が防護服を着るなどの感染対策が必要」と説明。公共交通機関は利用できないため、家族が送迎できない場合は、県職員が補助するなど課題も多い。

比嘉医師が勤務する診療所でも感染などで職員の欠勤が相次ぐ。「人手不足の中、残業や休日出勤が続いている」といい、人件費の補助など行政の支援を求めた。