大腸の右と左では、遺伝子発現がまったく異なっていることがわかったのだそうです。
脳と大腸は作用として直接つながっていますが、右脳と左脳なんていう概念も思い出します。
大阪大学のニュースリリースはこちらです。
大腸は右側と左側で似て異なる臓器
大阪大学 2024/11/08
研究成果のポイント
・大腸内視鏡(カメラ)下小腸・大腸ステップ生検を健常者と大腸腫瘍患者に実施
・健常者の遺伝子発現解析において、右側大腸 vs. 左側大腸で遺伝子発現が全く異なることを発見
・大腸がん患者の「正常組織」と健常者の小腸・大腸組織の遺伝子発現が異なることを発見、大腸がん患者の大腸は既に「未病状態」である可能性が示唆された
・進行大腸がん患者では、「小腸(回腸末端):免疫の中枢器官」において遺伝子発現が変動しており、小腸を標的とした今後の免疫療法の開発に期待
概要
大阪大学大学院医学系研究科の谷内田真一 教授、 国立がん研究センター中央病院・内視鏡科の斎藤 豊 科長らの研究グループは、大腸内視鏡(カメラ)下小腸・大腸ステップ生検を行い、右側大腸と左側大腸について異なる臓器ともいえるような遺伝子発現の違いがあることを発見しました。
また、大腸がん患者さんの大腸の「正常組織」は、健常者(大腸カメラで病気を認めない人)と異なる遺伝子発現を示し、既に大腸がん発生の素地となる状態であることがわかりました。
特に、進行大腸がんを有する患者さんにおいては、正常の大腸粘膜に加えて大腸がんとは離れた小腸(回腸末端)においても遺伝子の変動が観察されました。
回腸末端は腸管免疫の中枢であることから、小腸免疫システムが大腸がんの進展に関連していることが明らかとなりました。
今後、小腸の免疫システムを利用した新たな腫瘍免疫治療の開発が期待されます。
本研究成果は、米国科学誌「Molecular Cancer」に、11月8日に公開されました。