中国の若者に「豆粒大の小さな金製品」である「金豆」への投資が爆発的な人気

 

偽物との区別がつきにくい商品ではありそうです。


中国の若者に「金豆」大流行-経済の不透明感で安全な投資先求める

bloomberg.co.jp 2024/03/18

金豆

中国はここ15年で最も深刻なデフレ状況にあり、株式市場は不安定で、銀行の金利は低過ぎるとして、ティナ・ホンさん(18)は豆粒大の小さな金製品「金豆(ゴールドビーンズ)」を投資先に選択している。

重さわずか1グラムほどの金豆やその他の金のアクセサリーは、経済に不透明感が漂う時期にあって、中国の若者にとって最も安全な投資先と見なされつつある。これは地金やブレスレットなど、金全般を買い求める消費者の大きなトレンドの一部であり、中国本土を巻き込んでいる。

福建省でコンピューターサイエンスを専攻する大学1年生のホンさんは、「金を買って損をすることは基本的にありえない」との理論の下、1グラム当たり約 600人民元(約 1万2400円)と比較的安価だとして金を購入し始めたと語る。ホンさんは2グラム以上の金豆を持っており、国際的な金価格よりコストが低い限り買い続けるという。

若い消費者のために投資の入り口としてブランド化されたガラス瓶入りの金豆は、中国の宝飾店で最新の売れ筋商品となっている。宝飾類小売りの周大福珠宝集団のリポート「2023宝飾品の消費動向調査」によると、Z世代が中国で最も金のアクセサリーを購入している。同世代は若年層の高い失業率とデフレへの移行に揺れている。

中国のゴールドラッシュ

伝統的な投資への信頼の欠如が、この新しい中国のゴールドラッシュに拍車をかける。

中国の株式市場は、新型コロナウイルスのパンデミックからの経済再開後、下落が見られ、主要な株価指数の一つは 2018年以来の安値水準まで下げている。一方で、中国人民銀行(中央銀行)は21年12月以降、主要金利を4回引き下げており、資産運用商品のリターンを押しつぶしている。

ロンドン本拠のコンサルティング会社メタルズ・フォーカスのマネジングディレクター、ニコス・カバリス氏は、若者は「楽しい消費」を避け、装飾品や投資のために金豆のような「資産型宝飾品」を購入していると語った。

だが同氏は、金豆や他の金製品に投資することは意味がないと警告する。そうした製品の価格は商品のスポット価格より 10-30%高いことが多いためだという。投資家は金の上場投資信託(ETF)に投資する方が得策であると同氏は指摘した。

ただそれでも、金への憧れは中国のソーシャルメディアを席巻している。微博(ウェイボ)では、「若者はなぜ金を買うことに熱中するのか」というハッシュタグが 9100万ヒットを記録。金の永続的な価値に関する活発な議論が微博のサイトにあふれており、ある人気投稿は「金を買うとトラブルを寄せ付けない」と指摘している。

ワールド・ゴールド・カウンシル(WGC)の 21年の報告書によると、金の購入者の4分の3は現在、25-35歳と推定され、多くの人が金への投資は低リスクであると考えている。昨年12月以降、金価格が高値を何度も更新している中で、その考えはさらに強まっている。

不純物混入の豆

ただ、本物の金と偽物の違いについて知識のない消費者が金豆やその他の金製品を購入することには危険が伴うと専門家は指摘する。

上海のオフィスで働くリリー・チェンさん(26)は最近、金のブレスレットと交換しようとした際に、自身が以前購入した金豆のほとんどに鉄、亜鉛、銅が混ざっていることを知った。

チェンさんは「超安値で金地金を購入するような手抜きをしたことはないし、評価の高いウェブショップから購入するようにしていた。しかし、こうしたことは起こり得る」と語った。

それでもなお、金を巡る熱狂はソーシャルメディア上で続く。大学生は金の購入について日記のように投稿し、カップルは金の贈り物でこじれた関係を修復した方法をシェアし、金属の転売業者やコレクターは金投資のアドバイスを提供する。