「海産物消費量・通院回数世界1位、幸福指数はビリ…韓国人はどこにいるのか」という韓国報道

 

【寄稿】海産物消費量・通院回数世界1位、幸福指数はビリ…韓国人はどこにいるのか

朝鮮日報 2021/09/19

数字で示される順位はいつも韓国人を緊張させる。学校に通っていたころに経験した試験の記憶が強烈だからなのか、韓国人はことのほか順位にこだわったりする。韓国の順位はどうなっているのだろうか?

誰もがよく知っているように、韓国の国土は世界107位というレベルの狭さなのに、人口は世界28位と多い方に属する。

面積も狭く、資源も足りず、経済協力開発機構(OECD)加盟国の中では年間気温差が最も大きいという悪条件の中で韓国人は過去70年間一生懸命働き、国内総生産(GDP)は世界10位の水準にまで上がった。経済成長において最大の寄与を行った製造業は常に危機に見舞われていて、他国に追いつかれそうに思えるが、実際の韓国製造業の競争力は、国連工業開発機関(UNIDO)の世界工業競争力指数(CIP)を基準にするとドイツ、中国に続き世界第3位の水準だ。

世界輸出市場シェア1位の品目も69に上る。製造業の割合が高いとあってエネルギー消費量も多い。韓国の石油消費量は世界7位、電力消費量も世界7位を記録している。大気中の粒子状物質の濃度が1立方メートル当たり27.4マイクログラムとOECD加盟国平均の2倍の水準に達しているのは、こうした構造によるものだ。

経済成長に伴って消費の水準も高まった。世界的な高級車であるベンツSクラスの国内販売量は世界3位で、ポルシェも5位という水準を記録している。ブランド品の市場規模も2020年にドイツを抜いて世界7位へと浮上した。

コロナで2年にわたり足を引っ張られているが、海外旅行の場合も、18年基準で見ると世界9位を記録した。所得水準が高まっているだけあって、使い捨てプラスチックの排出量でも世界3位ということが判明している。韓国は世界的にも「たくさん稼いで、たくさん使って、たくさん捨てる」国というわけだ。

韓国は食べることに熱心な国でもある。「ご飯食べましたか?」「一度食事しましょう」という言葉があいさつとして使われる国らしく、韓国は「たくさん食べる国」だ。

海産物の消費量は1人当たり58キロで世界1位。セネガルのタチウオ、モーリタニアのタコは今や韓国人にとっておなじみの存在になっており、世界の巻き貝生産量の90%を韓国が消費している。

肉類の消費量も1人当たり51.5キロでアジア1位。野菜や果物もよく食べる。OECD加盟国の中で野菜の摂取量は2位、果物の摂取量も8位だ。1人当たりのコメ消費量が30年の間に半分まで減った分、ほかのものを一生懸命食べているのだ。

このようにたくさん食べるが肥満率は34.5%で、OECD加盟国の中では日本(25.4%)と共に最も低い水準を記録している。食べ物の消費量を考慮すると矛盾する結果のように思えるが、体重をはじめ健康に対する関心と心配が強い国だといえる。

各種メディアやホームショッピングなどに欠かさず登場する健康食品や各種運動用品のおかげなのか、期待寿命も83.3年で世界トップレベルを記録している。

だが通院回数を見ると年間17回でOECD1位、入院日数は18.1日で2位を記録するなど、健康心配症が強い国でもある。もちろん医療保険、そしてほとんど全ての韓国国民が保有している損害保険のお陰で病院の敷居が低いことも要因として作用している。

Kポップに代表される文化コンテンツについて見てみると、韓国は既に文化大国といえる。映画やゲーム産業は世界5位、音楽産業は6位の水準だ。

韓国各地にあるネットカフェやシネコンは韓国文化産業を支える柱、というわけだ。「本を読まない」と言って誰もが慨嘆しているが、実は出版市場の規模は7位に達している。おかしな感じだが、各書店にびっしり並んでいる各種参考書や受験書のことを考えてみると納得がいく。かつて周期的に火あぶりの刑に遭っていた漫画の場合も世界7位の水準で、ウェブトゥーン(ウェブ漫画)などデジタル市場では韓国のプラットフォームのシェアが急速に拡大しつつある。

5000万人という人口規模を考慮してみると、コンテンツ産業のこうした規模は不思議に思える。

年間労働時間が1967時間とOECD加盟国中2位を記録しているのに、どうしてあのような文化コンテンツ産業の成長を実現できたのだろうか? 

その答えは、OECD1位の平均通勤時間とOECD最下位を記録している睡眠時間にある。睡眠不足で長時間労働に苦しみつつ、満員の地下鉄でゲームをして、映画を見て、漫画を読んでいるのが韓国人の姿でもある。

多くのことを短期間で成し遂げただけに、その影も大きく、かつ深い。

自殺率は10万人当たり24.7人で、OECD平均(11.5人)の2倍に達して1位。これほど高い自殺率において大きな比重を占めているのが高齢者の自殺だ。65歳以上の高齢者の自殺率は10万人当たり58.6人で、2位のスロベニア(38.7人)を大きく引き離している。高い高齢者自殺率は、貧困が大きな影響を及ぼしている。

韓国の高齢者貧困率は43.4%で、OECD平均(14.8%)に比べ顕著に高い断トツの1位-という事実はあまり知られていない。高齢人口の増加率が4.4%と、OECD加盟国の中では最も高い状況であることを考慮すると、こうした高齢層の問題は今後一層深刻になるだろう。

高齢者だけでなく、子どもたちも不幸だ。2020年のユニセフ(国連児童基金)の調査によると、韓国の子どもたちの身体的健康(13位)、学業および社会能力(11位)は上位圏にあるが、精神的ウェル・ビーイング(身体的・精神的・社会的に良好な状態にあること)は調査対象38カ国中34位にとどまっている。

順位で見た大韓民国は、韓国人が思ってみなかった多様な姿を見せてくれる。

競争力があり、バランスの取れた産業構造と高い消費水準が韓国の誇りだとするならば、貧困と自殺、そして長時間労働と通勤時間は韓国の弱点になるわけだ。個人の暮らしと直接関連がある多くの分野の弱点が、韓国人の幸福指数をOECD加盟国中最下位へと押し下げているのだ。これを解決しようとする積極的努力が必要な時期がきている。労働時間を減らし、高齢層に対する福祉を拡充し、通勤時間短縮のための交通改善と住宅供給拡大が実現すれば、韓国の順位はさらに良い方向へと変化するだろう。

チェ・ジュンヨン(法務法人「律村」専門委員)