ワクチン接種受けた男性の精子の調査では「影響ナシ」(研究対象11人の大研究)

 

(※)研究の対象は「11人」で、試験期間は最長4週間でした。記事にもありますが、前・国立成育医療研究センターの医師は、「精子の幹細胞から成熟精子までにかかる期間は約2か月半と言われている」とおっしゃっています。


ワクチン 精子への影響、長期的研究も検討

日テレNEWS24 2021/09/09

新型コロナウイルスのワクチンの接種後、男性の精子に悪影響はみられなかったという調査結果を、民間のクリニックが発表しました。

この調査は、大阪と東京で不妊治療を行うクリニックが、新型コロナの感染歴がない男性11人を対象に行ったものです。ファイザー製の新型コロナワクチンの接種前と、1回目の接種の2週間後、2回目の接種の2週間後と4週間後に、精子の数や濃度、運動率などのほか、世界で初めて、精子の質につながる精子のDNAの損傷率も解析しました。

その結果、精子の濃度は接種前を100とすると、2回目接種の4週間後は122.8で、統計上、有意な差はないとしたほか、いずれの時期、項目も、接種による負の影響は認められなかったということです。

リプロダクションクリニックCEO・石川智基医師

「誤った情報でワクチンを打ったら不妊になるんじゃないかと、やはりそういう患者さんからの声っていうのは非常に多いんですね。問題なく(ワクチンを)打っていただいたらいいと思います」

今回の対象は11人と多くはないため、このクリニックでは、マイアミ大学と共同で、より多い人数を対象に長期的な影響や追加接種による変化などの研究も検討しています。

慶応義塾大学・吉村泰典名誉教授

「世界では、男性に関しては影響は与えないだろうということが一般的に言われているが、日本人の男性のデータがなかったので、今回、日本人にも影響を与えないと言えた。ワクチンを女性だけ打って、男性は影響が分からないからやめましょうということはないので、不妊治療に当たる女性がコロナに感染しないよう、パートナーもしっかりワクチンを打つべきと言える。調査は数千人の単位で行うことは必要で、そういったデータはあった方が良い」

齊藤英和梅ヶ丘産婦人科ARTセンター長(前・国立成育医療研究センター医師)

「精子の幹細胞から成熟精子までにかかる期間は約2か月半と言われているため、今回のワクチン後の経過観察は、それよりも短いと思う。『精子形成の後半』には、ワクチン接種の影響がないとは言えるかもしれない。しかし、ワクチン接種後の副反応で、短期間とはいえ高熱が出た場合の影響はどうか、また、11人よりも大規模な、長期の研究をした場合の結果は異なる可能性がある」