[「リーマンより悪い」、暴落が引き起こした恐怖の記憶]というブルームバーグ報道

 

> 「この大きな動きの原因が何なのかを解き明かそうとしているが、はっきりとは分からない」と述べた。


「リーマンより悪い」、暴落が引き起こした恐怖の記憶-債券も株も

bloomberg.co.jp 2022/06/14

LPLファイナンシャルのチーフ株式ストラテジスト、クインシー・クロスビー氏は13日の取引が早く終わってほしいと思った。「画面から目が離せなかった」と同氏はインタビューで語った。

あまりに下げの大きい日で、株式だけを見ているわけにはいかなかった。どこまで状況が悪化するか見極めようと債券やクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)にも目が行った。

それはひどい状態だった。不安定な今年の標準に照らしてすら、13日の金融市場全体の激しい動きは際立っていた。債券急落の中で2年物米国債利回りは29ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)急上昇。9日夜からは54bp上昇した。2日間での上昇幅として2008年以来で、米政策金利の行く末についてトレーダーが予想の調整を急いでいることが浮き彫りになる。

S&P500種株価指数は5銘柄を除く全てが下落。1月に付けたピークからの下落率は20%を超え弱気相場入りした。

暗号資産(仮想通貨)は急落し、利用者の多いプラットフォームは現代版取り付けを防ぐため資金引き出しを凍結した。ドル指数は約20年ぶり高水準に達した。

一部の人々にとって、10年余り前の世界金融危機の恐ろしい記憶をほうふつとさせるに十分だった。ソーンバーグ・インベストメント・マネジメントのポートフォリオマネジャー、クリスチャン・ホフマン氏は、市場流動性のひどい悪化を受けて08年の暗い日々を思い出したと語った。

市場の流動性はリーマンショックに至るまでの時期より悪い」と、破綻により大恐慌以来最悪の金融危機を引き起こした同社に当時勤務していた同氏は述べた。流動性不足は「相場急落を引き起こしかねないため、リスクはさらに大きくなる」と話した。

10日発表の米インフレ率が予想を上回ったことで大幅な米利上げとそれに伴うリセッション(景気後退)への懸念が高まった。JPモルガン・チェースとゴールドマン・サックス・グループ、野村ホールディングスのエコノミストらは13日、バークレイズとジェフリーズに続いて15日の0.75ポイント利上げを予想した。この幅の利上げは1994年以来となる。

米国債が逃避先となるのではなく急落したことが市場全体の売りの引き金となった。プリヤ・ミスラ氏はクリントン元大統領の政治顧問だったジェームズ・カービル氏が債券市場の恐ろしさを語ったことを思い出した。

TDセキュリティーズ金利戦略世界責任者の同氏は「すごい1日だった。貨物列車が迫ってくるのに逃げる場所がないようだった。今日の債券市場はどう猛だった」と話した。

ソシエテ・ジェネラルの米金利戦略責任者、スバドラ・ラジャッパ氏は流動性不足と一部の「パニック売り」、マージンコールが13日の急落の一因だとした上で、それだけでは市場の動きを説明しきれないと話す。

一部の顧客はこれほどの売りの理由が分からず困惑していたという。「この大きな動きの原因が何なのかを解き明かそうとしているが、はっきりとは分からない」と述べた。