二十代によく聴いていた曲(25) – YBO2 – ドグラ・マグラ (1986年)

(コメント)最近、昔の知り合いなどと会うと、「初めて会ってから40年 (@_@)」ということに気づくこともありまして、自分も長いことないなあ、とか思う部分もあり、寝る前に思い出投稿をしようと思います。

YBO2 – Doglamagla (1986)

知り合いの方との交流の中で「結婚式の花嫁登場の時に北村昌士さんの曲を使いました」という言葉を最近聞きました。

むかしからのお知り合いではなく、ここ 10年くらいのお知り合いの方ですが、

「どんな曲の選択してんですか」

と思わず言いつつも、突然、「そういえば、20代の時によく聴いていたなあ」と思い出したのです。

北村昌士さんというのは、YBO2 (イボイボ)というバンドの主催者で、そして、当時のひとつのジャンルというのか何というのか、カテゴリーの著名人でもありました。

ある程度のところは、YBO2 – Wikipedia などにあります。

私が最初に聴いた、その YBO2 の最初のシングルが、以下の「ドグラ・マグラ」でした。私はそれまで知らないバンドだったんですが、こんな鮮烈なジャケットだと普通買いますよねえ。

その後、なんだかんだと、20代を通じて、1989年にメジャーデビューしたアルバムあたりまで YBO2 はよく聴いていました。このアルバムの一種叙情的なラウンド・ダンスという曲も好きでした。

YBO2 の主催者だった北村昌士さんは、49歳で亡くなってしまいますが (2006年)、今もいろいろな曲を思い出します。

ちなみに、このドグラマグラというのは、小説家の夢野久作さんの 1935年の小説『ドグラマグラ』からのものだと思いますが、Wikipedia を読んでみますと、話全体はアレですが、記憶を喪失した主人公に、精神医学者が残した文書を渡すということが書かれていまして、そこには、「5つのこと」が書かれているとあり、そのうちの 4つには以下のように書かれてありました。

ドグラ・マグラの概説より

・1つめは、現代のおそろしい精神病者の扱いと文明を批判した「キチガイ地獄外道祭文」

・2つめは、精神病者の新しい治療場を構想した「地球表面は狂人の一大解放治療場」

・3つめは、脳髄は全身全細胞の情報交換所にすぎないとし、脳髄崇拝を批判した「脳髄は物を考える処に非ず」

・4つめは、胎児は体内にいる10か月のあいだに生物進化を反復しその夢を見ていると述べる「胎児の夢」

3つめと 4つめは、今だと理解できます。

人間は脳ですべてのことを考えているのではなく (In Deep の参考記事)、また、胎児は、胎内で生物進化のすべてを経験します (In Deep の参考記事)。

そういえば、上にリンクした二つ目の記事には、三木成夫さんの『胎児の世界』という本から抜粋していますが、ここに、ドグラ・マグラの作者である夢野久作さんのことが出てきます。

抜粋して締めさせていただきます。


三木成夫『胎児の世界』 胎児の世界 – 胎児の夢より

昭和の奇筆、夢野久作は、この「胎児の世界」と「夢の世界」のあいだに「細胞記憶」というひとつのかけ橋をわたす。かれはこう述べる。

「いかなる賢人、または偉人といえども、細胞の偉大な霊能のまえには無力同然……太陽の前の星のごとく拝跪しなければならない……人間の形に統一された細胞の大集団の能力は、その何十兆分の一に当る一細胞の能力の、そのまた何十兆分の一にも相当しない……」

夢野久作は、このような細胞記憶の窓から、まず「 胎児」の世界をそのように眺める。

「何が胎児をそうさせたのか?」

夢野久作のこの問いかけに答えるもの—それは、卵細胞のもつ地球誌的な生命記憶をおいてほかにない。かれは結論する。—「卵細胞はすべてを知っている」と。

この記憶はつねに秘密の暗号として極地の磁気テープに打ち込まれ、細胞分裂によって倍数にふえていく一つ一つの細胞に完璧なかたちで伝授され、ついには六十兆ともいわれる全身の細胞にあまねく行きわたるのである。