ブドウが腸内細菌環境を多様化させるというアメリカの研究

 

(※)以前以下のような報道もありました。

赤ワイン摂取で腸内細菌叢の多様性が増大 英研究 (AFP 2019/08/29)

しかし、一方で以下のような現実もあります。

フランスのワイン生産が過去最低に (時事 2021/09/19)


ブドウ食べて腸内“多様性” 米国研究でコレステロール低下傾向

日本農業新聞 2021/11/21

ブドウを食べると、腸内細菌の多様性が豊かになり、コレステロール低下に役立つなど健康効果が期待できることが、米国の最近の研究で明らかになった。ブドウに含まれるカテキンなどのポリフェノールが、好影響を与えている可能性が高い。ブドウの消費拡大につながると、業界は期待している。(特別編集委員・山田優)

業界は消費拡大に期待

米カリフォルニア大学ロサンゼルス校などの研究者らによる「ブドウ粉末投与による腸内細菌と健康に関する影響」と題した論文が、6日の科学雑誌「ニュートリエンツ」に掲載された。

論文の筆頭筆者である楊潔萍博士(カリフォルニア大学ロサンゼルス校薬学部)によると、実験に使ったのは緑、赤、黒色の生食用ブドウの乾燥粉末。約300グラム相当を、健康な18歳から55歳の男女に対して4週間与えた。

ブドウを摂取しなかった対照区と比べ、肥満などへの効果が期待される細菌が増えた他、「顕著に腸内の細菌の多様性が改善された」。コレステロールの低下傾向も見られたという。

ブドウの機能性は、マウスによる実験などで存在が知られていたが、今回、実際のヒトへの投与でも効果が確かめられた。

研究を主導した同学部の楊博士は「ブドウにはカテキンなどポリフェノールや植物繊維が含まれている」と説明。腸内環境を整えるブドウの機能性は業界にとって朗報になると指摘した。

カリフォルニア生食ブドウ委員会は、研究成果を受けウェブサイトで「ブドウは腸内細菌の多様化とコレステロール低下に貢献」とPRを始めた。同委員会は近年、ブドウの機能性を前面に出して消費拡大を進める。「ブドウを食べる八つの理由」では、心臓、脳、免疫系などへの好影響を強調している。

詳細なヒト試験を

■農研機構食品健康機能研究領域健康・感覚機能グループの庄司俊彦主席研究員の話

これまでも、ブドウやリンゴなど果実の摂取による腸内細菌や健康との関係は注目されてきた。今回の研究は小規模試験ではあるが、ヒトを対象にして、改善が期待できることを示した。ポリフェノールや食物繊維など、ブドウのどのような成分が関わっているのか、腸内細菌の変化に、どのような生体調節機能が関係しているのかなど、詳細なヒト試験での研究が求められている。