『チャップリンの独裁者』のラストシーンの演説

 

ふと、3年前の以下の記事を読んでいまして、そこに載せていたことを思い出しました。なかなかいい台詞だと思いますので、ここに再掲します。

[記事]「今起きていることは通常のメンタルヘルス・カタストロフではない」
In Deep 2020年7月18日


『チャップリンの独裁者』(1940年)のラストシーンの演説

申し訳ない
私は皇帝になりたくない
私は誰も支配したくないのだ
できることなら助けたい
ユダヤ人も、ユダヤ人以外も、黒人も、白人も

人類は互いに助け合うべきなのだ
人間とは本来はそういうものなのだ
人間は、他人の幸福を願って生きるものだ
他人の不幸を願ったり、互いに憎み合ったりしてはならない

この世界には全人類が暮らせる場所があり、大地は富に満ちている
人生の生き方は自由で美しく楽しいものであるべきだ
しかし、私たちは生き方を見失ってしまっている
貪欲が人類を毒し、憎悪をもたらし、悲劇と流血へと私たちを行進させた

私たちはスピードを手にしたが、それによって自分たちの意志を孤立させた
機械は貧富の差を作り、知識を得たことにより人類は懐疑的になった
思想だけがあって感情がなく、人間性が失われた

賢さよりも、優しさや愛と思いやりが必要なのだ
思いやりがないと暴力だけが残り、すべてが失われてしまう。

飛行機やラジオが私たちの距離を縮めたが、それらの発明の本質は、人間の良心に呼びかけて、世界がひとつになれることを呼びかける力があることだ

今も私の声は世界中の何百万人もの人々のもとに届いている
その中には、絶望している人たちもいるはずだ
男性たち、女性たち、子供たち、罪のない人たちを拷問し、投獄する組織の犠牲者のもとにも私の声は届いている

私の声が聞こえる人たちに言いたい

「絶望してはいけない」

私たちに覆いかぶさっている貪欲はやがて過ぎ去り、恐怖もやがて消える
それらの貪欲や恐怖は、人類の進化を恐れる者たちの嫌悪なのだ

憎しみは消え去り、独裁者の獣たちは死に絶える
人々から奪いとられた権力は、ふたたび人々のもとに返されるだろう
自由は決して滅ばない!

兵士諸君!
獣たちの犠牲になるな!
やつらは諸君を欺き、見下し、奴隷にし、人生を操り、諸君を家畜のように追い回している
諸君が何をして、何を考えて、何を感じるかさえも指図し、そして、諸君に対して、食べる物まで制限する者たちは、諸君を単なるコマとして扱うのだ!

やつらは人間ではない!
心も頭も機械に等しい!
諸君は、そのような機械の心を持った機械人間たちの犠牲になってはならない

諸君は機械ではない!
諸君は家畜ではない!
諸君は人間だ!
心に愛を抱く人間なのだ!

憎んではいけない
愛されない者だけが憎むのだ

独裁を排し、自由のために戦え!

神の王国は人間の中にある
すべての人間の中にあるのだ!
諸君すべての中に神の国があるのだ!

すべての諸君は幸福を生み出す力を持っている
人生は美しく自由であり、素晴らしいものなのだ!
それを創り出す力を諸君は持っている!

民主国家の名のもとに、その力を集結させよう!
良い世界の実現のために戦おう!
若い人たちには希望を与え、老人たちには安定を与えよう

獣たちも同じ約束をしながら権力を伸ばしてきた
しかし、獣たちは約束を守らないし、これからも同じだろう
やつらは野心を満たし、大衆を奴隷にした!

今こそ戦おう!
約束を実現させるために!
世界に自由をもたらし、国境を取り除き、この世から貪欲と憎悪を追放しよう!

良識のために戦おう
文化の進歩が全人類を幸福に導く世界になるために戦おう

兵士諸君!
民主国家のために団結しよう!