亡くなった方の親族の報道

 


【新型コロナワクチン】接種と副反応のはざまで

広島テレビ 2022/09/06

岸田総理は先日の記者会見で自らの「新型コロナウイル」感染が、4回目接種の効果で軽症で済んだとして、接種への協力を訴えた。一方で、ワクチン接種後に亡くなった方もいる。果たして接種との因果関係はあるのか。取材した。

広島県東広島市在住の岡本裕之さん・30歳が、自宅で亡くなったのは、去年8月25日。2回目の接種から3日後だった。基礎疾患はなく、接種の前の日も変わった様子はなかったと言う。

 

■父親・岡本裕二さん
「何かしてないとおかしくなりそうだったからコロナという脅威にさらされている人の役に立つようなことができれば息子の供養にもなるかなと」

死亡の6日後、父親の裕二さんに警察が伝えた死因は「不詳」。本当の死因は何なのか。回答を得られないまま、時間だけが経過していいた。そして先月、警察からの死因判明の連絡…。伝えられたのは、「全身性炎症反応症候群」だった。

■父親・岡本裕二さん
「医学的知識ないし、この紙1枚を渡されてもやはりしょっぱなと同じじゃないかと。1年かかってこんだけなん」

細菌などの感染による炎症が、臓器の機能低下を引き起こす「全身性炎症反応症候群」。しかし警察や医療機関はワクチン接種との因果関係は判断できないとする。広島県医師会の松村会長に聞いた。

■広島県医師会・松村誠会長
「アナフィラキシーショックとか、明らかに注射を打ってすぐであれば因果関係は明らかになると思うが、日にちが経てば経つほど実証が難しくなると思う」

父親の裕二さんは今、国の「予防接種健康被害救済制度」の認定を目指している。これは、ワクチン接種後に健康被害があった際、有識者による審査会で認められれば、医療費や、死亡一時金などが支給される制度だ。しかし、今回は因果関係が証明されていないことから、警察に司法解剖の詳細について情報開示を求めている。

■父親・岡本裕二さん
「(死因が)分かったよという報告は裕之(息子)にはした。ただまだこれでは納得いかないからやらせてくれと報告した」

厚生労働省が把握する接種後の死亡例は、全国で1800人以上に達している。この内、「因果関係を否定できない」とされたものは1件だけだ。一方、国は今月からオミクロン株に対応した新たなワクチン接種を始める方針だ。

■広島県医師会・松村誠会長
「ワクチンを打たずに感染する重症化・死亡する方の数がワクチンを打っての副反応よりはるかに数が多いことを考えていただくと、やはりワクチンの意義は改めて認識していただいて接種をできるだけ受けていただきたい」

ワクチン接種には、副反応に加え、時間経過と共に低下するその効果や、感染ピークと接種時期の見極めなど、取り組むべき課題がある。そしてその効果をより確かなもとする為にも、接種後のケアなど、体制強化も欠かせない。