[日本もロシアからの原油・天然ガスの輸入停止に追い込まれる可能性]という記事

 


ロシアの戦争犯罪を追及する先進国と対ロシア追加制裁強化、ロシア側の報復措置

NRI 2022/04/04

先進国による追加制裁では、EUによるロシアからの天然ガス(及び原油)の輸入禁止が含まれる可能性が出てきた。

これは日本にとっては頭の痛い問題である。日本政府は、ロシアからの原油、天然ガスの輸入の相当部分を占め、日本が権益を持って進めているプロジェクトのサハリン1・2から撤退しない方針を明らかにしている。

しかし、仮にEUが天然ガス(及び原油)の輸入禁止を決めれば、日本も国際協調の観点から、それに同調せざるをえなくなるのではないか。

既に米国とカナダは、ロシアからの原油、天然ガスの輸入禁止を決めており、また英国も段階的にロシアからの原油を削減することを決めている。EUと日本がロシアからの天然ガス(及び原油)の輸入禁止を決めれば、天然ガス及び原油の価格が一段と高まることは避けられない。

また、先進国による追加制裁に対して、ロシア側からの報復措置の実施も予想される。ロシアは、いわゆる「非友好国」に対して、天然ガスの輸入代金をルーブルで支払うことを要求している。応じない場合には、天然ガスの供給を停止すると脅しているのである。

現時点では日本はその対象に入っていないが、将来的には加えられる可能性もある。主な目的は、ルーブルの需要を作り出すことでルーブルの価値安定をはかることだが、これには、先進国に対する嫌がらせという報復の側面もあろう。

さらにロシア政府は、輸入国のルーブル支払いの対象を、天然ガス以外にも広げていく考えである。そこには、原油、鉱物、レアアースなどの資源も含まれる可能性がある。

ルーブルでの支払いを拒めば、供給を停止するとの姿勢をロシアは示すだろう。ロシアへの依存度が4割以上であるパラジウムの調達が難しくなれば、日本の自動車生産などにも大きな打撃となる。