The Velvet Underground – All Tomorrow’s Parties (1967)
私の最大の恩人である谷口マルタさんが先日亡くなったのですが、マルタさんは、舞台表現に関わるキッカケを作ってくださった方で、マルタさんに誘われて、私は東京にある明治大学という大学の実験劇場という学生劇団に入ったのです。
入ったとはいえ、私は、音楽関係とか舞台美術などの裏方をやろうと思っていたのですが、マルタさんは、
「(実験劇場に)入ったのなら、まずは舞台に出なきゃ」
と言われたのですね。
高校の時の音楽系の活動以外には、舞台に出たこともなく、演技など当然、経験もありません。
私 「いやあ。舞台に出るなんて…」
マルタさん 「まあ、出てみなよ」
しかし、考えてみれば、私はこの実験劇場に入ったばかりで、仮に舞台に出たとしても、なんか舞台の後ろのほうでワイワイしているような小さな役なら(どんな役だよ)大丈夫かなと出ることにしたのです。
そして、次の公演の脚本が渡されて、そして、キャストも同時に発表されました。
それを見て、私は「?」と思ったのでした。
私が言い渡されたのは、脚本のキャストの最初に書かれている役だったのです。
私 「あの…これ、いわゆる主役という感じですか?」
マルタ 「うちに主役はないけど、まあ、そんな感じかもしれない」
私 「困ります。私、演技とかできないですから」
マルタ
「大丈夫、大丈夫」
ということで、入ったばかりで、いきなり、いわゆる主役に指名されてしまいました。
どうしていいのだか、よくわかりませんでした。
それはテント公演で規模の大きなものでした。
まあ、なんとかやったようには思いますが、本番のことはよく覚えていません。
この公演のラストシーンで流れたのが、ベルベット・アンダーグラウンドのオール・トゥモローズ・パーティーズだったんです。
私はものを知らない人で、「この曲いいですね、誰ですか?」と聞いたら、
「ベルベット・アンダーグラウンド知らないの?」とマルタさんにあきれられたことを思い出します。
北海道の田舎者は何にも知らなかったんです。
この公演の時期は、ちょうど今頃で、梅雨時でした(今年は梅雨なかったですけれど)。公演が終わった後、雨が降っている中で、あー何とか終わった、とか思ってましたかね。
20歳そこそこの頃でした。
この公演の演出をしていたのが、谷口マルタさん(当時は、少年マルタ)でした。
40年以上前ですかね。