北海道の赤潮での被害は過去に一度もなかった災害レベルに

 


「全く経験したことのない大変な状況」 太平洋側に広がる赤潮 被害はサケやウニ以外にも 北海道

HBC 北海道放送 2021/10/29

赤潮による道内の漁業被害が、国内最悪と見込まれる中、29日、太平洋の沿岸に広がる赤潮の様子をカメラがとらえました。

カメラマンリポート
「日高町の上空です。海が赤茶けた色に濁って見えます」

29日朝、日高の日高町の厚賀漁港の付近では、海面に赤潮が帯状に広がっていました。赤潮は、特に日高地方の沿岸で色が濃く、長いものは数キロ以上連なっていました。

日高地方のサケやウニの漁業被害は、22日時点でおよそ6億円。しかし今週、ツブやタコ、ナマコも被害を受けている恐れがあることがわかり、日高全体の被害総額は90億円以上に膨れ上がる見込みです。

この影響を心配しているのが飲食店です。日高の浦河町にある飲食店の看板メニューは、ツブの刺身。地域を代表する味覚の危機に、店は不安を募らせています。

お料理 松山・松山和弘社長
「ツブののぼりを立てていたんですけど、(ツブが)ほとんどだめなのでやめました。これから影響が出てくる。大変なことが起こったなと」

沿岸の町に影を落とす漁業被害。しかし、現状では、効果的な対策はないと専門家は見ています。

北大水産学部浮遊生物学研究室・山口篤准教授
「これだけ大規模に広まってしまって、高濃度で(プランクトンが)いるわけですから、泥を散布する方法などもあるが、底に(プランクトンが)沈みますから、底にいる生物に毒が行くことになる…なかなか難しいのが現状」

こうした中、道東の釧路では、29日、自治体や漁協の関係者が集まり、被害の実態を確認しました。

釧路総合振興局・菅原裕之局長
「過去、道内において全く経験したことのない大変な状況。被害額も甚大である」

29日の会議の場で、漁業関係者は、今後の調査や資源の確保にかかる費用について、国や道に支援を求めました。