2020年のパンデミック下で、世界でうつ病が 5,300万人増加、不安障害患者は 7,600万人増加

 

※) これからまだまだ増えていくはずです。

参考記事 「うつ病……帯状疱疹……」 (In Deep)

うつ病を予防する最も強力な因子は「人とのつながり」であることをアメリカの研究者たちが最新のデータ解析技術を使用して突き止める」(In Deep)


コロナの爪痕、世界でうつ病が5,300万人増

時事 2021/10/20

新型コロナウイルス感染症のパンデミックが到来した2020年。オーストラリア・クイーンズランド大学の Damian F. Santomauro 氏らは、世界疾病負担研究(GBD)2020の一環として、COVID-19のパンデミックが及ぼす精神障害への影響を検討。

その結果、2020年に世界ではパンデミックに伴い大うつ病性障害患者が 5,300万人超、不安障害患者が 7,600万人超それぞれ増加したこと、特に女性と若者で影響が大きかったことを明らかにし、ランセットに発表した。

関連する48件の研究を解析

精神障害は、世界の疾病負担の主要因である。GBD2019では、精神障害の中でもうつ病と不安障害が二大リスク要因であることが示された。Santomauro氏らは、GBD2020の一環として、COVID-19パンデミックが大うつ病性障害と不安障害に与える影響を検討するシステマチックレビューおよびメタ解析を実施した。

PubMedなどの医学データベースから2020年1月1日~21年1月29日に公開された論文を検索し、大うつ病性障害と不安障害の有病率を検討した48件(大うつ病性障害46件、不安障害27件)を特定。

それらのデータを用いて、パンデミック前とパンデミック下で有病率の変化を国・地域、性、年齢別に算出した。パンデミックの影響の指標は、人流、日々の新型コロナウイルス感染率、日々の超過死亡率とした。また、障害調整生存年数も算出した。

コロナ下で大うつ病性障害、不安障害とも有病率が25%超上昇

解析の結果、「人流の抑制」と「日々のSARS-CoV-2感染率」の2つが大うつ病性障害の有病率の上昇と関連することが示された。

COVID-19のパンデミックの影響を国・地域別に解析したところ、大うつ病性障害の人口10万人当たりの有病率は、パンデミック前の 2,470.5人から 3,152.9人に上昇(変化率27.6%)。パンデミックにより増加した大うつ病性障害の患者数は、全世界で 5,320万人に上ると推計された。

一方、不安障害の人口10万人当たりの有病率は、パンデミック前の 3,824.9人から 4,802.4人に上昇。パンデミックによる患者数の増加は、全世界で 7,620万人に達すると推計された。