コロナで死亡した患者で、感染後76日後に「精巣」からSA​​RS-CoV-2が検出された事例

これは、さきほど投稿しました以下の記事の補足です。

(記事)精子細胞は自発的に「外来 DNA の断片を取り込む」ということを示した論文
BDW 2023年12月27日

精巣に長く残留しているということと「精子は外来 DNA を自発的に取り込む」という事実があることが、「精子の遺伝子が変更される」等と関係あるのかどうかわからないですが、以下のように一人の患者のサンプルで、76日後に精巣から検出されています。

ネイチャーの論文より

nature.com

論文の概要も書いておきます。


解剖時の人体と脳におけるSARS-CoV-2感染と残留

nature.com 2022/12/14

SARS-CoV-2 infection and persistence in the human body and brain at autopsy

概要

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) は、 SARS-CoV-2 の急性感染中に多臓器不全を引き起こすことが知られており、一部の患者は急性期後と呼ばれる長期にわたる、SARS-CoV-2 の後遺症を経験する。

しかし、気道外での感染負荷とウイルス除去までの時間、特に脳内での感染負荷およびウイルス除去までの時間は、十分に特徴づけられていない。

ここで私たちは、COVID-19 で死亡した 44人の患者の完全な解剖を実施し、これらの患者のうち 11人の中枢神経系を大規模にサンプリングして、全世界の SA​​RS-CoV-2 の分布、複製、細胞型特異性をマッピングして定量化した。

それにより、脳を含む人体は、急性感染から症状発現後 7か月以上まで持続することがわかった。

われわれは、SARS-CoV-2 が主に重篤な新型コロナウイルス感染症で死亡した患者の間で広く分布していること、またウイルスの複製が感染初期に脳を含む複数の呼吸器組織および非呼吸器組織に存在することを示した。

さらに、ある症例では症状発現後 230日後に、脳全体を含む複数の解剖学的部位で持続性の SARS-CoV-2 の RNA が検出された。

SARS-CoV-2 RNA は全身に広範囲に分布しているにもかかわらず、気道の外側では炎症や直接的なウイルス細胞病理学の証拠はほとんど観察されなかった。私たちのデータは、一部の患者では SARS-CoV-2 が全身感染を引き起こし、数か月間体内に持続する可能性があることを示している。