終末糖化最終産物(AGE)の受容体の関与が「コロナの単球への直接感染を可能にする」という論文

 

単球と、終末糖化最終産物(AGE)とは以下のようなものです。

単球
白血球の成分の一種であり、白血球の3~8%を占め、感染に対する防衛の開始に重要な細胞です。細菌などの異物を細胞内に取り込み、消化し、異物の一部を細胞表面に提示します(抗原提示)。これをT細胞が認識して、体の防衛が開始されます。単球は血管外の組織に移動すると、マクロファージと名前を変えます。 ganjoho.jp

AGE
タンパク質または脂質が糖へ曝露されることによる糖化反応(メイラード反応)によって作られた生成物の総称であり、身体の様々な老化に関与する物質と言える。 Wikipedia

論文のタイトルは RAGE となっていますが、「終末糖化最終産物の受容体」ということのようです。

ちなみに、単球には、本来のコロナ感染受容体である ACE2 受容体は存在しません


SARS-CoV-2によるRAGEの関与により単球感染が可能となり、新型コロナウイルス感染症の重症化の根底にある

ncbi.nlm.nih.gov 2023/11/08

RAGE engagement by SARS-CoV-2 enables monocyte infection and underlies COVID-19 severity

概要

重症急性呼吸器症候群コロナウイルス 2 (SARS-CoV-2) の蔓延は、その後の流行波と、非常に懸念される長期的な影響により、永続的な医療および社会経済的課題を伴う COVID-19 のパンデミックに拍車をかけている。

ここでは、疾患の経過と重症度にわたって単一細胞解像度で患者の免疫応答を分析することにより、COVID-19 の病因の分子基盤を図表化する。

このアプローチは、疾患の経過および重症度にわたって、COVID-19 における細胞部分集団特異的な調節不全を確認し、単球における終末糖化最終産物 経路の受容体(RAGE)の重症度に関連した活性化を特定する。

THP1 (※ ヒト単球系白血病細胞株)に基づく in vitro (※ 試験管内)実験では、単球が RAGE を介して SARS-CoV-2 スパイクタンパク質 S1 受容体結合ドメイン (RBD) に結合することが示され、RAGE とスパイクタンパク質の相互作用が単球感染を可能にすることを示している。

したがって、この結果は、RAGE が SARS-CoV-2 の機能的受容体であり、新型コロナウイルス感染症の重症化に寄与していることを示している。