たった2週間で認知症が劇的に進行した方の話ですが、そのことも驚きですが、それをまた元に戻すことができたという介護スタッフさんたちの努力がすごい。
認知症でこんなに急激に回復することがあるのですね。いろいろと参考になるお話だと思いました。
介護士さんの X への投稿より
「えっ?2週間でこんなに認知症って進んじゃうの?」
D子さんのあまりの変貌ぶりに、
ぼくたち職員は驚きを隠せなかった…
90代のD子さんは、軽度の認知症はあるものの、
”なんで施設に入居されたんだろ?”って、
思うくらいしっかりされたかただった。
朝はご自分で化粧をしてお部屋から出てこられ、
テーブルを拭いたり、他の入居者さんにおしぼりを配ってくれたりと、職員の手伝いをしてくださる。
新聞広告を折りたたんで、『使い捨てゴミ箱』を作るのが得意。
そんなD子さんなので、他の入居者さんとは会話が噛みあわず、職員と笑って過ごすことのほうが多かった。
そんなD子さんが、急に体調を崩して入院されることになった。
さいわいにも、2週間ほどで退院してこられるとのことで、ぼくたちは安心したのだが、実際、戻ってこられたD子さんの、あまりの変わりようにかなりのショックを受けた…
杖をついて歩いておられたのが車椅子になり、
職員のことを1人も覚えておらず、
トイレの場所や職員を呼ぶナースコールを認識できない。
これまで普通にご自分で用を足しておられたのに、当たり前のように失禁してズボンを濡らし、オムツの中に出てしまったウンチを手でいじり、布団で拭いてしまう…
D子さん担当の職員さんとフロアの主任さん、ケアマネさん、リハビリさん、看護師さん、栄養士さんらが集まって、カンファレンスが実施された。
”一気に進んでしまった認知症に対してどのように関わるのがD子さんにとって一番いいか?” が、テーマだったが、
主任さんが、
「たった2週間なら、まだ間に合うんじゃないですかね?」と発言し、みんなの心にスイッチが入った。
”また元のD子さんに戻ってほしい” という強い想いを、みんなが共有した。
以前にやって頂いていた職員のお手伝いもほとんどできなくなっていたが、それでもご自分のことだけでもやって頂くことになった。
D子さんが座っているところだけテーブルを拭いて頂く、ご自分の洗濯物をたたんで頂く、おしぼりとして使うタオルをクルクル巻いて頂く。
何かできれば、そのつどぼくたち職員は、
「ありがとうございますっ!」「めっちゃ助かりますっ!」
と大げさにお礼を伝えた。
それを続けていると、じょじょに認知症が改善し、2ヶ月ほどで入院前とほとんど変わらない状態にまで戻られたのである。
この時の職員みんなの喜びようはヤバかった。
パリピ。みんなパリピだった。
少し時間はかかったが、その回復ぶりにもほんとに驚かされた。
「普通にちゃんとしようとしてるのにうまくやれないんよ。変やな変やな、って思いながら、変なことをしちゃうんよ。自分でもなんか不思議な感覚やったわ」
劇的な回復を果たしたあとの、D子さんのこの生々しい声は、その後のぼくの、『認知症のかたへの関わりかた』にめちゃくちゃ大きな影響を与えてくれています。