[「経験ない事態」農家悲鳴 猛暑連日]という報道

 


「経験ない事態」農家悲鳴 猛暑連日、生育や収量に危機感 栃木県内

下野新聞 SOON 2022/06/30

栃木県内は29日もうだるような暑さが続き、暑さ対策の前倒しを迫られる農家から、悲鳴が上がっている。連日の猛暑日は、6月として未曽有の事態。作物の生育にもあおりが見え始め、「経験のない状況」「どんな品質になってしまうのか想像できない」などと危機感を強める声も上がった。

ナシ農家では、強い日差しで葉が茶色くなる「葉焼け」や害虫のハダニが出始めた。例年なら真夏に見られる事象だ。宇都宮市上籠谷町、山口幸夫さん(56)は「経験がない状況だ」と危機感を口にする。ビニールハウス内のファン設置などを急ぐ。

果実の生育や収量などへの影響が懸念される。今季は春の降霜被害が少なく、豊作への期待も高まっている。JAうつのみや梨専門部長の大橋基宏さん(47)=同市満美穴町=は「いち早く状況を察知して管理し、高品質のナシを提供したい」と前を向く。

同市新里町、コメ農家床井正幸さん(48)の田んぼでは、暑さで雑草の伸びが早い。それでも熱中症を警戒し、草刈りは午前中に限っており思うように進まない。

懸念するのがカメムシの発生だ。コメの汁を吸い品質を悪化させるカメムシは、気温が上がるほど多く発生し、伸びた雑草を介してコメに付きやすくなる。「夏場の暑さが心配。どれだけ品質に影響が出るのか」と不安が尽きなかった。

那須塩原市関谷、酪農業和田泰さん(45)方。牛舎脇の事務所にある温湿度計で、気温が36度、湿度は80%超を示す。いずれも乳牛にとって不快な値だ。

生乳を搾る頭数は150頭ほどだ。一般に乳牛は高温や多湿に弱く、夏場はえさを食べにくくなる。乳量は減り、病気のリスクも増す。牛舎の天井には送風機約60台、霧状の水をまく機械を取り付けている。

送風機は夜通し動かし、餌やりの時間を気温の低い朝に変えるなど、対応に追われている。

梅雨明けは異例の早さだった。電気代のコスト増が懸念されるほか、円安やウクライナ情勢による飼料の高騰も経営を圧迫し続けている。「手腕や技術が問われるね」と語った。