ヒトヘルペスウイルス6型 (HHV-6)が流産の原因となることが1993年に判明していた

 

(※) 偶然見つけた1993年の日本の論文です。

[参考記事] まあ、男性のほうも不妊になりますよ (In Deep 2021/09/13)


自然流産患者の絨毛内のHHV-6の局在

奈良医大など 1993年2月

〔目的〕我々はこれまで妊婦におけるHHV− 6の感 染実態を検索し妊娠への影響を検討してきた。 今回 、 自然流産患者の絨毛内に HHV−6 抗原、ウイルス粒子が確認できたので報告する。

〔方法〕

1. 関節蛍光抗体法 (IF法)を用い初妊婦148名の血清抗体価を測定した。
2. また本法を用い、自然流産妊婦血清の抗HHV−61gG,IgG、IgM 抗体価を測定した。
3. 流産絨毛についてHHV-6モノクローナル抗体を用いて HHV-6抗原の有無、局在部位等について検索した。
4. 電顕を用いて絨毛内のウイルス粒子の確認を試み、さらにその ウイルス粒子が HHV-6 であるか否かを免疫電顕にて検索した。

〔成績〕

1. 正常初妊婦148名の抗体陽性者はIF法10倍以上を陽性とした場合 125例( 84.5%)だった。
2. 自然流産 42例中、抗体陽性者は 39例( 92.9%)で、4例(9.5 %)に IgM 抗体を認めた。
3. そのうち 3例(7.1%)の 絨毛合胞細胞に HHV-6 が存在し、組織学的にも同部位の変性を認めた。
4. 電顕所見では同部位にヘルペスウイルス様の粒子が観察された。
5. 免疫電顕にてその粒子が HHV-6 であることが確認された。

〔結論〕我々はこれまで HHV-6 の妊婦への影響の一つとして自然流産を示唆してきた。今回、HHV-6モノクロ ーナル抗体を用いて流産絨毛上皮内での HHV-6抗原の局在が明らかになり、さらには同じ流産絨毛細胞から電顕にてウイルス粒子が見られ、免疫電顕でそのウイルス粒子が HHV-6 であることを初めて発見した。

これらの事実より、HHV-6 が明らかに絨毛に感染し上皮細胞に組織学的な変化を起こすことにより流産の原因となるウイルスであることを突き止めた。