23区内新築マンション価格が1カ月で6000万円近く下落。転売目的なら、眠れぬ日々か
櫻井幸雄 2025/05/30

不動産経済研究所が5月20日に「首都圏 新築分譲マンション市場動向 2025年4月」を発表した。
それによると、東京23区内の新築分譲マンション平均価格は70平米換算で9000万円。前月2025年3月の調査発表では1億4939万円だったので、1カ月で6000万円近く下がったことになる。
首都圏全体の新築分譲マンション価格をみると、やはり70平米換算で1億485万円だったのが6999万円に下がった。
東京23区内も首都圏全体も新築分譲マンションの平均価格が大きく下がったわけだ。が、「大幅下落」を問題視するニュースは出ていない。各報道機関はこの下落を一時的な現象と判断したのだろう。都心の高額住戸の売り出しが少なかったため、平均価格が落ちただけ、と。
たしかに、この4月、23区内で売り出された高額住戸は少なかった。
首都圏全体で1006戸が売り出されたうち、1億円以上だったのは89戸で、うち2億円以上の住戸は10戸のみ。3億円以上の住戸はなかった。
これに対し、平均価格が1億4939万円だった3月は首都圏全体で2210戸が発売され、そのなかの684戸が1億円以上だった。うち148戸が2億円以上で、35戸が3億円以上となっていた。
つまり、都心部の高額住戸が「たまたま」多く売り出された3月は23区内の平均価格が1億5000万円近くになったが、「たまたま」少なかった4月は23区内の平均価格が1億円を割り込んだ。だから、月ごとの平均価格で一喜一憂する必要はないということだろう。
それでも、首都圏全体の平均価格が7000万円を割り込んだのは2023年12月以来、1年4カ月ぶりのこと。一時的な現象であっても、ここまで大きく下がったことをもう少し気にしてもよさそうだ。
平均価格は、再び高くなるのか
この4月、首都圏の新築分譲マンションの平均価格は大きく下がった。この先、すぐに「平均価格は1億円台」という状態に戻るのだろうか。
スポット的に平均価格が上がる月はあろうだろうが、これまでにように高い状態が続くかどうか。都心部で今後供給されるマンションの予定を調べる、右肩上がりに戻るとは考えにくい。
都心の大規模マンションは超高層タワーマンション、いわゆるタワマンが主体だ。そのタワマンは、これから先、少なくなることはあっても増えるとは考えにくい。発売戸数は減ってゆく。
販売開始時期を後ろにずらすケースも目立つようになり、それもタワマン発売戸数が減る理由になっている。
都心マンションは数を絞ることで価格を維持する、という方向に進む。つまり、都心マンション自体は価格が下がらない。それでも、販売戸数が減ることで、「新築分譲マンションの平均価格」への影響は避けられない。
近年、「高額の都心マンションが、新築分譲マンション全体の平均価格を引き上げてきた」のは周知の事実だ。その牽引役の数が減ることで、平均価格が落ち着く。言い方を変えると、平均価格が下がり続ける可能性がある。それが、マンションの売れ行きにどのような影響を及ぼすかは未知数だ。
2015年あたりから、東京23区内も、首都圏全体も、新築分譲マンションの平均価格は上がり基調を続けてきた。
上がり続けたことで、マンションに投資してみようかという気分が盛り上がり、転売目的の購入者を増やしてきた側面がある。平均価格が下がり基調に転じれば、その動きに変化がでるかもしれないのだ。
マンション価格が下がったことで喜ぶ購入者は?
新築分譲マンションの平均価格が下がった場合、それを歓迎するのは、これからマンションを買おうと考えている人たちだ。特に、自ら住む目的でマンション購入を考えている人たち=実需層にとっては朗報となる。
しかしながら、今回の発表を子細にみると、それほどうれしい状況とはいえない。というのも、首都圏全体の平均価格は下がったものの、郊外各エリアのマンション価格はさほど下がっていないからだ。
4月に発売された郊外マンションの数字をみると、平均価格が下がった場所と上がった場所が半々だった。
神奈川県は平均価格が6726万円で、前の月の6968万円より少し下がった。埼玉県の平均価格も前の月の6027万円より低い5358万円に。しかし、東京都下の平均価格は7223万円で前の月の6508万円よりも上昇した。千葉県の平均価格も前の月の4749万円から大きく上昇して6066万円となった。
首都圏全体の平均価格は大きく下がったのに、郊外のマンション価格は総じて変わっていないことになる。
では、3月に平均1億4939万円だった新築分譲マンション平均価格(70平米換算)が9000万円まで下がった東京23区内はどうだろう。当然、喜ぶ人が多いと考えがち。が、実際には喜ぶどころか、顔が青ざめる人たちがいる。
それは、転売目的で新築分譲マンションを購入した人、なかでもローンを組んで購入契約をした人たちだ。
転売目的の購入者が恐れる、値崩れの連鎖
転売目的の購入者は都心部の超高層タワーマンション、いわゆるタワマンを好んで購入する。そのタワマンは契約から引渡しまでの期間が長くなる。建物が完成するまでの建設期間が2年から3年となるケースが多いからだ。
この「2年から3年の間」に、これまでは新築マンションの平均価格が上がり続けた。それに伴い、中古マンションの相場価格も上昇した。
価格上昇の期間が2年、3年に及べば、値上がり幅はその分大きくなる。だから、建物が完成したときにタワマンを転売することで、大きく儲ける人が続出したわけだ。
しかし、新築分譲マンション平均価格の上昇が止まったら、どうなるか。中古マンションを買おうとする人のマインドが下がり、想定したほどの高値で転売できない可能性がある。万一、新築分譲マンションの平均価格が下がり続けたら……購入マインドはさらに下がる危険性がある。
加えて、中国経済の先行きが不透明なこと、円安が是正され始めたことなど、マンションの転売に水を差す要因が増えている。
以前から、不動産投資は「資金に余裕がある人がキャッシュで行うべき」とされている。ローンを組んで行ってはいけない……それは、相場が下がったとき、ローンを組むことで大きな弊害が生じてしまうことを意味する。
平成バブルがはじけたとき、ローンを組んで投資を行った人たちの状況をいくつも見た。
の内容はいずれ……書く気になれば、だが。