「買い手がいません…日本国債の安全神話崩壊」という記事





買い手がいません…日本国債の安全神話崩壊、20年物の応札倍率が過去最低に

朝鮮日報 2025/05/23

米国債と共に世界最高の安全資産とされていた日本国債の人気に陰りが出ている。日本国債を購入する投資家が減少し、国債価格が急落(金利は急騰)しているのだ。

「失われた30年」と呼ばれる長期不況の中でも日本政府の確実な資金源の役割を果たしてきた日本国債だが、その安全神話が崩れるのではないかとの懸念が出ている。日本国債の弱体化は日本円の価値の下落にもつながりかねない。

グローバル金融市場では「円を売って安全なスイス・フランに乗り換えるべきだ」との意見も出ている。

5月20日、日本の30年物国債の利回りは前日より0.165ポイント高い年3.14%まで上昇した。30年物国債の発行が始まった2000年以降で最高の数値だ。

同日、40年物国債も年3.6%まで急騰して史上最高を更新したほか、長期貸し出しや社債金利などの基準となる10年物も1.5%を超えるなど、長期債の金利が一斉に跳ね上がった。この傾向は21日も続き、満期10年以上の長期債の金利は一斉に前日の最高値を更新した。

発端は20日に行われた20年物国債の入札だった。国債入札の応札倍率が2.5倍で、2012年8月以来、13年ぶりの低水準となったのだ。

入札の不調を示すもう一つの指標となるテール(平均落札価格と最低落札価格の差)も、1987年以来38年ぶりに最大(1円14銭)を記録した。日本の内外では「38年ぶりに到来した最悪の国債ショック」との分析が示されている。

専門家らはこれらの原因について、日本の莫大な債務比率や選挙を前にして打ち出されているバラマキ的な減税公約などを挙げている。

世界最悪の借金大国である日本が国債を発行して減税の財源を賄おうとすれば、国債価格がさらに下がるのは目に見えており、そのような見通しが国債金利を押し上げているのだ。

日本国債の屈辱…買い手がいない

長期金利の上昇はトランプ政権による関税戦争が勃発して以降、世界的な潮流となってはいるが、問題は日本の上昇幅が最も大きいことだ。

日本は6月に東京都議会選挙、7月に参議院選挙を控えている。選挙を前にして消費税引き下げを巡る論議が活発になり、財政膨張がさらに深刻化するのではないかとの懸念が広がっている。

以前のように日本銀行が国債を買い入れれば問題はないのだが、日本銀行も昨年から「テーパリング(資産買い入れの縮小)」に入っており、余力はない。昨年8月から国債買い入れ規模を毎四半期4000億円ずつ減額しており、来月の金融政策決定会合で来年以降も縮小基調を続けるかどうか方針を決めようとしていたところだった。

日本銀行の空白を埋める民間も尻込みしている。日本の国債市場で最大の投資家となっている大手生命保険各社が、いまだ明確な購入意欲を見せていないのだ。

米国発の関税戦争などによって金融市場の不確実さが一層高まっているためだとの分析が出ている。

ブルームバーグ通信は「投資家たちはトランプ政権の政策の不確実性と向き合っている」として「日本の超長期国債は日本国内の投資家らによる事実上の『買い入れ拒否』という事態に直面している」と指摘した。

21日付の日本経済新聞も、国債金利急騰の背景に財政膨張に対する懸念があるとして「日本もこれからは金利のある世界となり、債券市場が日本銀行のコントロールから解放され始めている」と分析した。

日本の政界では減税の財源として国債発行を主張する声もあるが、石破茂首相は反対の姿勢を示している。

石破首相は19日の参院予算委員会で「わが国の財政状況は極めてよくない。ギリシャよりも悪い」と述べた。国際通貨基金(IMF)の集計によると、日本は2023年末現在で国内総生産(GDP)に対する政府債務の比率(政府債務残高対GDP比)が249.7%で世界1位を独走している。2位のギリシャ(債務比率168.9%)を大きく引き離しているのだ。

日本の超長期国債ショックが為替市場に波及するという懸念も提起されている。

日本経済新聞は「20年物国債の入札ショックは海外の為替先物市場にも影響を及ぼした」として「投機資本が円買いポジションを見直し、スイス・フランへ移している」と報じた。

日本国債が不安定になったことから、ヘッジファンドのような投機資本の間では円の安定性に疑問を抱く動きが出ているということだ。

実際に米国のJPモルガンは最近「これまで推奨してきた『スイス・フラン売り・円買い』の持ち高解消を勧める」として「円にも相当なリスクが存在するため、今こそスイス・フランの安定性を再評価すべきだ」というリポートを発表した。

グローバル投資家が一斉に円を売ってスイス・フランに乗り換えれば、それだけ日本円のリスクが高まるのは目に見えている。