「緑茶を飲むと高齢者の脳の白質病変が減少する」という日本の研究

金沢大学大学院 医学研究科の研究者たちによる研究です。論文はこちらにあります。





緑茶を飲むと高齢者の脳の白質病変が減少する

Medical Xpress 2025/01/14

Drinking green tea linked to fewer white matter lesions in brains of older adults

金沢大学大学院医学研究科が主導した研究では、認知症のない高齢者において、緑茶の摂取量が多いほど脳白質病変が少ないという有意な関連性が報告された。

この研究結果によると、緑茶を 1日 3杯以上飲むと脳の健康を守るのに役立つ可能性があるが、コーヒーの摂取には有意な効果は見られなかった。

緑茶とコーヒーはどちらも神経保護成分が含まれていることで知られており、水に次いで世界中で最も広く消費されている飲料だ。これまでの研究では、お茶とコーヒーの摂取は認知機能の向上につながると示唆されているが、高齢者の脳の構造変化との直接的な関連性を調べた研究はほとんどない。

大脳白質病変は、小血管疾患の兆候となることが多く、認知機能低下、血管性認知症、アルツハイマー病(AD)と関連があるとされています。本研究は、磁気共鳴画像(MRI)データを使用して、緑茶とコーヒーの摂取が白質病変の体積、海馬の体積、および脳全体の体積に与える影響を評価することを目的とした。

npj Science of Foodに掲載された「緑茶摂取と認知症のない地域在住高齢者の大脳白質病変」というこの研究は、日本国内の 8つの研究センターが参加する大規模な多施設観察研究である「高齢化と認知症に関する前向き研究協力」の一環として実施された。

データ収集は 2016年から 2018年にかけて行われ、65歳以上の参加者 8,766人を対象に食事評価、MRIスキャン、認知機能評価が行われた。

毎日の緑茶とコーヒーの摂取量を測定するために食品摂取頻度質問票が使用され、0~200 ml、201~400 ml、401~600 ml、および 601 ml以上の4つのレベルに分類された。

脳 MRI スキャンにより、白質病変の容積、海馬容積、および全脳容積に関するデータが得られた。人口統計、健康状態、生活習慣、アルツハイマー病の遺伝的リスク要因などの交絡因子を調整するために、高度な統計モデルが適用された。

交絡因子を調整した後、緑茶の摂取量が多いほど、白質病変の容積量が少なくなるという有意な関連が見られた。

毎日 600 ml の緑茶を摂取する参加者の 白質病変の容積量は、200 ml 以下を摂取する参加者よりも 3% 低く、毎日 1,500 ml を摂取する参加者の白質病変の容積量は、参照グループよりも 6% 低かった。

緑茶の摂取と海馬または脳全体の容積との間には有意な関連は認められなかった。

コーヒーの摂取は 白質病変の容積、海馬容積、または全脳容積に有意な影響を与えなかった。

研究結果によると、エピガロカテキンガレートなどの緑茶カテキンの抗酸化作用と抗炎症作用は血管の損傷を軽減し、脳の健康を促進する可能性があるが、特定の成分が原因であるとは実験的に検証されていない。