ただ、自然災害の発生件数は減少しているとしても、「自然災害による経済的被害額」は劇的に上昇しています(経済的被害額が上昇するのは、ある意味では当たり前ではあるのですが)。2019年のこちらの記事にグラフなどを示しています。
世界的な自然災害は増加しているのだろうか?
tandfonline.com 2023/08/07
Is the number of global natural disasters increasing?
我々は、災害疫学研究センター(CRED)の緊急事象データベース(EM-DAT)で 1900年以降に報告された自然災害件数の時系列的傾向を分析した。
目視検査では、3つの異なる段階が示唆されている。
まず、20世紀半ば頃までの自然災害件数の直線的な上昇傾向、その後、新世紀の変わり目にかけての急速な増加、そしてその後 2022年までの減少傾向である。
これらの観察結果は、3つのブレークポイント(1922年、1975年、2002年)を特定する区分回帰分析によって裏付けられており、最も最近のサブ期間である 2002~ 2022年は、自然災害事象数の大幅な減少が特徴となっている。
時間の経過に伴う同様のパターンは、火山、地震、乾燥地滑りなどの同時期の地球物理学的災害の数によっても示されているが、これらの災害は、その性質上、気候や人為的要因によって大きな影響を受けない。
我々は、観察されたパターンは主に自然災害事象の報告が次第に改善され、緊急事象データベースデータセットが 2000年以降比較的完全であると見なされていることに起因すると結論付けている。
上記の結果は、地球温暖化に伴って自然災害とその影響が増加すると予測する 2つの国連機関(国連食糧農業機関と
国連防災機関)による以前の分析とは著しく矛盾している。
我々の分析は、この主張に基づいて国連防災機関が発表した推定にも強く反論している。