In Deep の「笑いという「奇跡の治療法」を取り戻す」という記事に、重症の膠原病を笑いで自己治癒したノーマン・カズンズ氏という方の『笑いと治癒力』という著作の一部をご紹介しています。
笑わない人は認知機能低下リスクが3.6倍!? データで見えてきた「笑い」の健康効果
trilltrill.jp 2024/11/06
大川亭可流亭(おおかわていかるて)――。和歌山県立医科大学で認知症外来を担当する廣西昌也さんの芸名です。
子どもの頃から落語が好きで、大阪の天満天神繁昌亭で落語入門講座を受講したのをきっかけに、最近はアマチュア落語家として、“認知症落語”にもチャレンジしています。
「認知症の講演会のときなどに、認知症をテーマにした創作落語を披露しています。病気の知識や予防法、患者さんや家族の心情などを盛り込んだ内容です。認知症の予防には、病気のことをよく知ること、そして笑うことも大事。よく笑う人は、認知症になりにくいという研究結果もあるんですよ」
認知症の治療にも、笑いのリラックス効果を活用!
廣西さんは「笑いは認知症治療の現場でもとても大切」だと話します。
「認知症の患者さんは、常に“NO”の世界に生きています。『こんなことしたらいかんよ』と周りからはNOばかり。緊張の連続で交感神経が高ぶり、いつも臨戦態勢のような状態です。それをほぐしてくれるのが、笑い。笑うと一気に副交感神経が優位な状態へと切り替わり、リラックスできるんです」
「怖い顔で診察室に入って来た患者さんも、心配顔のご家族も、帰るときには笑顔になっていてほしい。落語で学んだ話術が診療にも役立っています」
交感神経優位で緊張した状態でも、笑うと副交感神経に即スイッチ
笑いはリラックスへの一番の近道です。
闘いモード(交感神経優位)
瞳孔が開く
血圧が上がる
心拍数が増える
消化管の動きが低下する
唾液がネバネバする
↓
笑い
↓
リラックスモード(副交感神経優位)
瞳孔が縮む
血圧が下がる
心拍数が減る
消化管が動く
唾液がサラサラする
研究データで見る「笑い」と「認知症」の関係
笑う頻度が少ないほど認知機能が低下しやすい――。それを示す研究データを紹介します。
福島県立医科大学の大平哲也教授らの研究によると、65歳以上の男女約1000人を対象に、笑う頻度と認知機能との関係を調べたところ、ほとんど笑う機会のない人は毎日笑う人に対し、認知機能低下のリスクが2.15倍高いという結果でした。
さらに、ほとんど笑わない人は1年後に認知機能が低下するリスクも3.6倍高かったといいます(※)。
廣西さんが提唱する認知症介護のコツ5か条と家族の接し方も参考に、ぜひ「笑い」を生活に取り入れて健康に過ごしてくださいね。
※出典:老年精神医学雑誌第22巻第1号2011