H5N1ウイルスが変異により「受容体結合幅が拡大した」という論文

 





乳牛関連のH5N1ウイルスの単一変異により受容体結合幅が拡大

biorxiv.org 2024/06/22

A single mutation in dairy cow-associated H5N1 viruses increases receptor binding breadth

概要

系統群 2.3.4.4b H5N1 が、米国の乳牛で前例のない流行を引き起こしている。

最近の H5N1 ウイルスが受容体の利用方法を変えているかどうかを把握するため、過去および最近の 2.3.4.4b H5N1 ウイルスから組換えヘマグルチニン(HA / 赤血球凝集素)をスクリーニングし、末端シアリン酸を持つ異なるグリカン(糖鎖)への結合を調べた。

乳牛の流行から分離した A/Texas/37/2024 由来の H5 は、過去および最近の 2.3.4.4b H5N1 ウイルスと比較して、鳥類受容体である末端 a2,3 シアリン酸を持つグリカンへの結合幅が広がっていることを発見した。ヒトの季節性インフルエンザウイルスが使用する受容体である a2,6 シアリン酸への結合は観察されなかった。

受容体結合部位の外側にある単一の変異 T199I が、受容体結合部位の柔軟性を高め、結合幅の拡大の原因であることがわかった。

これらのデータを総合すると、最近の H5N1 ウイルスは受容体結合の幅が拡大しており、それが H5N1 に感染した宿主の範囲や細胞の種類に影響を及ぼす可能性があることがわかる。