アメリカで行われた人体医療試験の事例のほんの一部

今日、In Deep の記事「英国での子どもを実験用動物とした治験で1000人以上が死亡した過去の臨床試験のスキャンダル報道…」を書いていたときに、2021年の過去記事を読み直していたのですが、なかなか、ひどい様相だなあと思い出しまして、その一部を書き出しておきたいと思います。オリジナルの英語の記事は、こちらにあります。


アメリカで行われた人体実験の事例の一部

 

1908年 ペンシルベニア州 セント・ビンセント孤児院

結核を研究している研究者たちは、ツベルクリン処方を目に入れて、8歳未満の 100人以上の子どもたちを対象に一連の診断テストを実施した。この非倫理的で不道徳な実験の結果として、何人かの子どもたちは生涯視力を失った。

 

1911年 ニューヨーク市 ロックフェラー医学研究所

野口英世博士(1876-1928)は、梅毒の皮膚検査を開発するために、梅毒の原因物質である梅毒トレポネーマの抽出物であるルエチンを 146人の子どもたちに注射した。子どもや他の大人の被験者たちは、彼らが実験に使用されていることを知らなかった。一部の子どもたちの両親は、子どもたちが梅毒にかかったと主張し、野口を訴えた。

 

1932年-1972年 アラバマ州 タスキーギ研究所

1997年5月16日、ビル・クリントン大統領はタスキーギ研究所での梅毒実験の犠牲者たちに謝罪した。アメリカ政府は、梅毒に感染した何百人もの貧しい黒人男性たちに、「無料の医療を受けられる」と嘘をついた。実際には、治験者たちの梅毒は治療されなかった。目的は、治療ではなく、医学研究者たちによる、梅毒がどのように進行するかの研究だった。

梅毒は何世紀にもわたって存在しており、1947年までにはペニシリンが梅毒を治すことが知られていた。しかし、この研究では、ペニシリンは使われなかった。つまり「治癒しない状態での病気の進行」が観察された。その結果、28人の男性が梅毒で死亡し、100人が関連する合併症で死亡し、少なくとも 40人の男性たちの妻が感染し、出生時に 19人の子どもたちが梅毒に感染していた。

 

1946年 テネシー州 ヴァンダービルト大学 1946年

この年、829人の妊婦たちに「ビタミンドリンク」が与えられた。研究者たちは、妊婦たちに「胎児の健康を改善するものだ」と述べた。しかし、妊婦たちには知らされなかったが、その調合薬には放射性鉄が含まれていた。

この研究の目的は、放射性同位元素が胎盤をどれだけ速く通過するかを調べることだった。試験薬を飲んだ女性たちには、発疹、打撲傷、貧血、脱毛、歯の喪失、およびガンが引き起こされた。

少なくとも生まれた赤ちゃんのうちの 7人が、ガンと白血病で亡くなった。この種の逆放射線実験( 1944年から 1974年まで 4,000回以上行われた)は、アメリカ政府の化学戦争への執着と、ソビエト連邦との冷戦による核兵器によって推進された。

 

1940-1953年 ニューヨーク市 ベルビュー病院

小児精神科医のローレッタ・ベンダー博士(1897-1987年)は、3歳から 12歳までの 100人から 500人の子ども(報告により数は異なる)に対しての電気ショック療法の実験をおこなった。対象は、自閉症と統合失調症の子どもたちだった。

ベンダー博士は大きなグループの前に子どもを座らせ、彼らの頭に穏やかな圧力をかけた。その際に子どもが動いた場合、ベンダー博士はこれが統合失調症の初期の兆候であると主張した。

ベンダー博士の子どもの被験者 50人を対象とした 1954年の研究では、ほぼ全員が症状が悪化し、一部は自殺したことが示された。ベンダー博士は、1956年から 1969年まで、同じニューヨーク市にあるクリードムーア病院で子どもたちに LSDを使用することを含む実験を続けた。

 

1955-1970年 ニューヨーク州 ウィローブルック州立学校

ソール・クルーグマン博士(1911-1995年)は、700人以上の精神障害者の子どもたちに、故意に病原菌を感染させた。学校の 3〜10歳の健康な子どもたちに対して、食べ物とチョコレートミルクを与えた。それらには、肝炎の患者の排泄物から合成された病気の菌株を合成させており、それにより子どもたちを肝炎に感染させた。州および連邦政府によって承認されたこの非倫理的な研究の目的は、ワクチンを開発することだった。子どもたちはみな病気になったが、幸いなことに誰も死亡しなかった。

1972年にこのウィローブルック州立学校の恐ろしい状況を報告したジェラルド・リベラ氏は、子どもたちが裸で、自分の糞便にまみれて壁に頭をぶつけているのを見た。そして子どもたちは無視されていた。リベラ氏は、自分が見たものについて考えるとき、今でも涙が出ると述べている。学校は 1987年に閉鎖された。

 

1989-1991年 アメリカ CDC

CDC(米国疾病予防管理センター)は、第三世界の国々の何千人もの赤ちゃんたちに実験的な EZ-HT ワクチン(はしかワクチン)を接種した。医学誌ランセットで発表されたセネガルでの研究のように、アフリカとハイチで実施されたこの臨床試験では、EZ-HTワクチンを接種した乳児たちの乳幼児死亡率がはるかに高いことを示した。

それにもかかわらず、CDCは、カリフォルニア州ロサンゼルスの 1,500人を超えるマイノリティの赤ちゃんたちに、実験的であり、米国での使用が許可されておらず、潜在的に危険であることを両親には告げずに、その EZ-HTワクチンを与えた。その後、CDC は 「間違いを犯した」と認めたが、「悪意はなかった」と主張している。幸いなことに、EZ-HTワクチンによる即時の悪影響を受けた赤ちゃんはいなかった。