「イベルメクチンが脳梗塞を改善させる」という研究論文

 


ラットの一過性脳虚血再灌流に対するイベルメクチンの神経保護効果

SPRING LINK 2023/09/27

Neuroprotective effects of ivermectin against transient cerebral ischemia-reperfusion in rats

概要

脳卒中は、世界中で障害と死亡の主な原因となっている。イベルメクチンは、潜在的な抗菌、抗ウイルス、抗がん効果を備えた広範囲の抗寄生虫薬だ。

しかし、イベルメクチンの脳への影響については十分に説明されていない。この研究では、ラットの脳虚血再灌流(IR)に対するイベルメクチンの効果を調べた。

一過性全体的 IR のラットモデルは、20分間の両側頚動脈閉塞によって誘発された。脳 IR を誘導してから 1時間後ラットにイベルメクチン(2 mg/kg/日、腹腔内)を 24 時間間隔で 3 日間連続して投与した。

次に、脳梗塞、組織病理学、マロンジアルデヒド(※ 脂質過酸化分解生成物の一つ)レベル、ミエロペルオキシダーゼ(※ 酵素の一種)活性、空間学習と記憶、およびホスホAMPK(※ 代謝を制御する分子)タンパク質レベルに対するイベルメクチンの影響を調べた。

その結果、イベルメクチンは、未治療の IR ラットと比較して、脳梗塞サイズ(P  < 0.001)、および脳白血球蓄積や浮腫などの組織病理学的変化(P < 0.05)を減少させたことが示された。

イベルメクチンによる治療では、未治療の IR 群と比較して、ミエロペルオキシダーゼ活性 (P < 0.01) とマロンジアルデヒドのレベル (P < 0.05) を低下させる一方、AMPK 活性 (P < 0.001)、そして記憶力、学習を増加させた。

我々はイベルメクチンが脳 IR のラットモデルにおいて神経保護効果を与えることを初めて示した。

我々の結果は、イベルメクチンによる 3日間の治療により、脳梗塞サイズ、脂質過酸化、およびミエロペルオキシダーゼ活性が減少し、脳 IR を有するラットの記憶と学習が改善されたことを示している。